
山納 洋
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2026年09月01日 |
山納 洋
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住まい・生活 |
住環境 |
情報誌CEL (Vol.139) |
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北欧には「福祉は住居に始まり住居に終わる」という言い方があるそうです。日本においても高齢化の進行とともに、福祉政策が施設中心から地域・住まい中心へと軸足を移すと同時に、住宅政策においても福祉的要素が重視されるようになってきています。
今回の『CEL』139号では、CELがこれまで40年間に取り組んできたテーマのひとつ「住まい・暮らし」をあらためて特集しました。過去の研究においても生活者にとっての幸福感や多様なライフスタイルの研究、人間関係を主軸にした住まい論など生活者に焦点を当てたものが多かったのですが、今回得たのは、少子高齢化や単独世帯化の進行にともなう関係性の希薄化、合意形成の難しさをどう乗り越えていくかという課題がより前景化しているという気づきでした。
東京大学大学院教授の祐成氏は「福祉国家の発展」が共助を弱めてきた側面があり、持続可能な住まい・暮らしに必要なのは、制度や市場の整備だけでなく「長屋的な世界」に代わる新しいつながりのあり方だと述べておられます。大阪くらしの今昔館館長の増井氏・京都大学大学院教授の三浦氏は江戸時代の大坂の「お町内」が果たしていた中間支援的役割に注目し、顔が見える関係性でのマネジメントの仕組みに言及されています。大家の立場で小商いの場を提供している柏元氏は「関わりしろ」を作り、場を使い手に委ねることを意識されていました。オルガワークスの細川氏は同様の取り組みを通じて「肩書きをはずして話せる場」づくりを実践しておられます。有原氏は団地においても「様々な人が自分の役割を見つけて活躍できる場」が必要と指摘し、神吉氏には高経年マンションにおける「3つの老い」を乗り越えるには「納得できるプロセス」を示すことが大事とお話しいただきました。
大阪のように都市としての歴史が長い地域には、ドライな面を持ちつつも住民どうしの関係性を築き、話し合いを重ねて課題を解決していく居住文化の蓄積があります。CELでは今後とも、こうした蓄積をいかにしてアップデートし、今に活かしていくかを考えていきます。
情報誌CEL