
畑中 章宏
2026年09月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2026年09月01日 |
畑中 章宏 |
都市・コミュニティ |
まちづくり |
情報誌CEL (Vol.139) |
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日本の写真史にその名を刻んだ大阪の偉大な写真家たち。その写真家が写し出した作品から、大阪の都市の様相を振り返る。第5回は田中幸太郎の《河内の子供たち》。
河内地方の人々の営みを見事に映し出す
三重県伊勢市で生まれた田中幸太郎(1901〜1995)は、1932年に大阪で創作写真グループ稚草社の創立に参加、48年から朝日新聞社出版局の仕事を始める。55年、作家で天台宗の僧侶だった今東光と出会ったのをきっかけに、東光が寺院の住職を務めていた八尾市を中心とする河内地方の風景や人々の営みを写真に収めるようになった。
一連の作品は30年近く経った1993年に、「日本の原風景・河内」展(京阪ギャラリー・オブ・アーツ・アンド・サイエンス)で発表され、写真集『日本の原風景 河内 シャモとレンコン畑』(光琳社出版)として刊行された。タイトルどおりこの写真集には、闘鶏で戦わされる軍鶏、泥畑で栽培される蓮根、また祭事や日常など、河内地方の民俗文化、伝統産業が見事に捉えられている。
「ケチで色を好み、軍鶏(シャモ)のように喧嘩ばやく、無軌道ながら底抜けに明るい河内人の気質には、痛めつけられながらも、ついのめり込んでいった」(写真集『シャモとレンコン畑』より)
神社の入口にある関東煮店
写真は生駒山地の西麓に神域を構える河内国一之宮・枚岡神社(東大阪市出雲井町)の参道の光景である。枚岡神社は、中臣・藤原氏の氏神として尊崇され、元春日社とも呼ばれるこの神社は、1月15日の粥占神事、12月23日(現在は12月の第三日曜日)の注連縄掛神事(お笑い神事)などの祭事も有名だが、のどかなようすはふだんの日だろうか。
神社の鳥居前で売られている「かんと煮」(関東煮)は、東日本の「おでん」で、子どもたちがおやつのように集っているが、ジュースとともに瓶ビールが並んでいることから、大人には酒のアテ(つまみ)なのだろう。
田中は1962年から花火の光跡を追うカラー抽象写真に取り組み、69年の国画会写真部への作品発表と同年の展覧会「火の踊り」により抽象写真家として知られるようになる。
情報誌CEL