
神吉 竜一
2026年09月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2026年09月01日 |
神吉 竜一 |
住まい・生活 |
住環境 |
情報誌CEL (Vol.139) |
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高経年化が進む分譲マンションでは、管理不全や再生の難しさが社会的な課題となっている。
「人の老い」「建物の老い」そして「管理能力の老い」という3つの老いが進行するなかで、修繕・建て替え・再生をめぐる合意形成や費用負担の問題はいっそう複雑さを増した。
本稿では、阪神・淡路大震災後の復興過程におけるマンション再建の知見も踏まえながら、高経年マンション問題の構造的課題を整理し、その解決に向けた新たなアプローチスキームを検討する。
I はじめに
2025年5月30日、「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」(令和7年法律第47号)が公布された。区分所有法・被災区分所有法・マンション建替円滑化法・マンション管理適正化法・住宅金融支援機構法の5本の法律を一括改正したもので、まとめて改正マンション関係法と呼ばれ、高経年マンション問題に対して、新築から再生までのライフサイクル全体にアプローチした法改正となっている。
今回、高経年マンション問題について寄稿する機会をいただいた。これまでの経験や学びのなか、大切な視点と感じたこと、はっとさせられたアイデアなど、共有できれば幸いである。
II 人口減少社会でマンションが直面する課題
日本の分譲マンションの歴史は、東京都が1953年に分譲した「宮益坂ビルディング」に始まる。戦後の住宅不足や団塊の世代の登場、都市部への人口集中などの社会背景から、狭い国土を高度利用し、欧米風の新しい暮らしを実現するマンションは、時代に求められて登場した最先端の居住形態だったのだと思う。
国土交通省の公表データによれば、マンション住戸数は約713万戸(2024年末)となり、国民の1割以上が住む一般的な居住形態となった。令和5年度マンション総合調査[*1]では、築40年以上の戸数は148万戸であり、その数は10年後には約2.0倍、20年後には約3.3倍に増加する見込みだが、対して、マンションの建て替え実績は323件、戸数にして約2.6万戸に留まっている。
[*1]国土交通省が5年に1度実施する、管理組合や区分所有者のマンション管理の実態を把握するための調査。
情報誌CEL