
有原 啓登
2026年09月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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2026年09月01日 |
有原 啓登 |
住まい・生活 |
住環境 |
情報誌CEL (Vol.139) |
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コミュニティの喪失と孤立、ひとり親家庭、隠れた貧困、孤立死、災害対応への不安など、住まいと暮らしを取り巻く今日的課題の多くが、集合住宅においても顕著となるなか、注目を集めているのが高度成長期に建てられた各地の「団地再生」の取り組みだ。
単なる改修を超え、新たな"暮らしの場"を育もうとする試みは、どんな可能性を秘めるのか?長年、団地の管理や再生事業に携わる一方、「愛好家」として団地と住民の暮らしをウォッチしてきた立場から、移ろいゆく団地の過去・現在の知見を通じ「日本社会の未来予想図」を提示する。
はじめに
今号の『CEL』が取り上げるテーマは、「住まい・暮らし」である。住まいとしての住宅は、一戸建てと集合住宅に大別される。さらに集合住宅には長屋、アパート、マンション、そして団地(住宅団地)といった形式が存在する。「住まい・暮らし」を考察しようとするとき、特に着目すべきと私が考えるのが団地である。団地とは、ひとまとまりの土地に複数棟の建物を計画的に配置した居住空間だ。公営住宅、UR賃貸(旧公団団地)、公社団地、分譲団地など、運営主体や住宅形態によって多様な姿を持つ。
国や地方公共団体、公的団体により大量供給されてきた団地は、単なる生活の器ではない。
それは時代ごとの社会課題、家族像、生活文化を映し出す「鏡」としての役割を伴っている。とりわけ高度経済成長期に大量供給された全国の団地は、「日本社会の縮図」としての性格を色濃く示していた。
私は団地で生まれ育った。大学では建築設計を学び、ゼネコンにて施工管理の実務に従事した。現在は地方住宅供給公社において、団地管理や団地コミュニティ醸成事業に携わっている。やがて団地の成り立ちや再生の取り組みに関心を深め、SNSで団地の魅力を発信するようになった。こうした経験は、団地を「供給」「空間」「生活」という三層構造から立体的に把握する視座を私に与えてくれた。
住まいを「暮らしの場」として支えるためには何が必要なのか。政策や制度の転換を、地域や生活者の実態と結び付け、実効性あるものへと昇華させるには何が求められるのか。こうした焦眉の問題に対し団地は格好の分析装置であり、その現場にこそ処方箋が潜在している。
情報誌CEL