
細川 裕之
2026年09月01日作成年月日 |
執筆者名 |
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2026年09月01日 |
細川 裕之 |
住まい・生活 |
住環境 |
情報誌CEL (Vol.139) |
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不動産物件に関し、もっぱら性能や利便性、資産価値が重視される現代。しかし、私たちの日々の暮らしを振り返ったとき、本当に大切なものは別のところにあるのでは、との思いもよぎる。大阪市大正区泉尾地区にある「ヨリドコ大正るつぼん」は、訪れる人々にそうした問いを投げかける場だ。築70年の長屋を再生し、カフェや福祉事業所、地域活動の場として多様な人々が行き交い、悩みを打ち明け、これまでになかった支援する/される関係を築く取り組みは、単なる空き家活用や地域活性化という言葉では語り尽くせない。同物件を所有・管理、先進的な試みの中心人物でもあるオルガワークス株式会社専務取締役の細川裕之氏にお話を伺った。
「ヨリドコ大正るつぼん(以下るつぼん)」の出発点は、地域に残されていた古い文化住宅――南北に2棟が並ぶ双子長屋「小川文化」と、長屋の3代目オーナーでありオルガワークス株式会社代表取締役の小川拓史氏の"再会"からだった。
「2017年11月に、北棟の『ヨリドコ大正メイキン(以下メイキン)』が出来上がりました。もともと『メイキン』の方は劣化も進み、長く空き家でしたので、最初はこれをどう活用するかという話から始まったんです」
2019年11月発行の本誌123号「地域と時間をつなぐ――「よそ者」の役割とは」でも取り上げている「メイキン」は、1階に工房と店舗、2階に住居を配したクリエイターのための職住一体の複合施設としてリノベーションされた。これは、小川氏と直接運営に携わる細川氏が、それまで手掛けてきたシェアリング物件のノウハウと、古くからものづくりの盛んだった土地柄との"掛け算"により実現。しかし、現在「るつぼん」になっている南棟に関しては「いったん、ゼロベースで考えていた」という。
「当時の南棟にはまだ4、5世帯の高齢者の方が住んでいて、『ここで最期を迎えたい』というその方たちの切なる思いがありました。代表の小川にも、それをかなえてあげたいというのが一番にあったので、みんなが満足いくまでここは何もしないという判断をしていたんです」と振り返る細川氏。
ところが、2018年に大阪府北部地震や大型台風21号の被害にみまわれたことで、転機が訪れる。
情報誌CEL