
柏元 真理子
2026年09月01日作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
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2026年09月01日 |
柏元 真理子 |
住まい・生活 |
住環境 |
情報誌CEL (Vol.139) |
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空き地や古い建物は、しばしば町の衰えのしるしとして受け取られる。だが、それらの借地・借家が持ち主のもとに返ってきたとき、どう受け止め、どう使い直していくかによっては、新たな活力の源にもなりうる。大阪府柏原市で多くの土地や建物を所有・管理してきた「地主系専業家主」の柏元真理子氏は、駅前商店街を中心に、リノベーションや再利用、新築を組み合わせながら、暮らしと商いの選択肢を少しずつ編み直してきた。その仕事からは、土地や建物を介して町に関わり、地域の可能性をひらいていく家主の実践が見えてくる。
奈良県との府県境に位置する大阪府柏原市。柏原駅前から国道25号へと続く古くからの商店街に、「大正通りポケット」はある。その名のとおり、「隙間」のような不思議な空間だ。通りに面した新築棟にはパン屋や和食店などの店舗が軒を連ね、テラス席を備えた細長いガーデンがある。奥のリノベーション棟を抜けると、懐かしい「空き地」を連想させる広場が広がる。この広場は、隣のコインパーキングともつながっており、さらに奥には古民家を改装したゲストハウスや大正長屋を使った料理教室もあり、店舗、ガーデン、広場、駐車場、宿泊施設が、奥へ進むにつれてゆるやかに連なっている。
ここでは月に一度、マルシェが開かれ、十数店の出店者に加え、周辺の実店舗も参加し、毎回およそ500人が訪れるという。取材に訪れた平日の昼間、商店街を歩く人は多くなかった。それでもコインパーキングの一角にはキッチンカーのパン屋が出店し、クラフト作家が手仕事の品を並べ、そのそばにお茶を飲めるスペースもつくられていた。人通りはまばらだが、店の人、常連客、手伝いに来た近所の人が自然に集まっている。そこで交わされる会話を見ていると、誰が運営する側で、誰が客なのかも、あまりはっきりしない。町の中心部にあるこの曖昧な隙間は、人がそれぞれの距離で居合わせる場所になっている。
新築の店舗やガーデン、リノベーションされた建物、コインパーキング、そして広場。少しずつ様子は見えてくるものの、ひとことで説明しようとするとつかみどころがない。いったいどうしたらこんな場所が生まれるのだろうか。
情報誌CEL