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情報誌CEL

湯澤 規子

2021年07月01日

大阪の胃袋 第3回 関西で「関東」を食べる − かんとだき物語

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2021年07月01日

湯澤 規子

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情報誌CEL (Vol.128)

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おばちゃんの「かんとだき」

私にとって祖父の姉にあたる人を一般的には「大伯母」と呼ぶらしいが、私は彼女を苗字で「阿波田のおばちゃん」と呼んでいた。そのおばちゃんは病気がちな夫の看病をしながら商業高校の近くで小さな雑貨店を切り盛りしつつ、4人の子どもを育てた。フジパンの特約店契約を結んで駄菓子などを並べ、高校生相手のささやかな商売を始めることにしたのは、1960年頃のことである。
近所に住んでいた私の祖母はおばちゃんが店を始める時、一緒に松屋町へ行って駄菓子を買い込み、それを担いで帰ってきた。歳は10ほど違うが、同じ淡路島の出身で、早くから大阪へ奉公に出て世間をよく知っていた義理の姉を、私の祖母は敬慕していたらしい。しばらくして、おばちゃんはその店先で「関東煮」を売り始めた。鍋には、牛蒡天、竹輪 、牛スジ、蒟蒻、厚揚げ、ジャガイモが毎日グツグツと煮込まれていた。

関東煮とおでん

この「関東煮」とは一体何なのか。大阪の人からは「そら、あんた、関東煮は“かんとだき”やがな」という答えが返ってきそうだが、私は大人になってから、実は漢字では「関東煮」と書くと知って、混乱せずにはいられなかったのである。『広辞苑』を引いてみても、「関西で、関東地方の煮込みおでんのこと」と、短い説明があるにすぎない。要するに関東でいうところの「おでん」なのだが、味も中身もずいぶん違う。これまでもお伝えしてきた通り、私は幼少期に大阪を離れ、関東に引っ越してきたものの、両親が大阪の味を手離さなかったために、「大阪の胃袋」の持ち主として育てられた。
だから、コンビニエンスストアで「おでん」販売が始まった時には、その匂いや出汁の色を見て、「関東煮」ではないと認識していた。大根、蒟蒻、練り物(大阪では天ぷらと呼ぶ)、昆布、ゆで卵などはおでんと共通している一方、関東煮には牛スジが欠かせない。コロと呼ばれる鯨肉が入っていることもある。そのため「こってり」とした味になるわけである。私の両親が懐かしむのは、駄菓子屋の店先でグツグツと煮込まれたそれである。「おばちゃんの関東煮が食べとぅなって、いろいろ探したんやけど、やっとたどり着いたのが大阪ガスのレシピやってん」と思いがけないことを教えてくれた母の関東煮、つまり大阪ガスの味に、私の舌は親しんできたことになる。1977年に同社から刊行された『お料理ミニ百科』の中にそのレシピはあった。

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