
情報誌CEL
教育現場から見た「伝える」の過去・現在・未来 ―― エネルギー環境教育の最前線に立って
作成年月日 |
執筆者名 |
研究領域 |
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備考 |
2025年09月01日
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山下 宏文 |
住まい・生活
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ライフスタイル
コミュニティ・デザイン
消費生活
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情報誌CEL
(Vol.137) |
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知識・情報を持つ教師側から子どもたちにそれを伝える――
従来の方法が、今、大きく変わりつつある。
長年、エネルギー環境教育のフィールドで先進的な研究を続けている山下宏文氏は、近年の学校教育のあり方は、広く社会人一般の学びについても通じるものがあるという。
さまざまな課題、それに対する意見がせめぎ合う現代、多様で主体的な学びを通じて「伝えること」の本質を知り、実践に結びつけていくために、何を、どう意識すべきか。
特集担当の前田章雄研究員と共に、お話を伺った。
「伝えたいことを伝える」から変わりつつある教育の現場
前田 山下先生は、小学校の教諭として現場第一線から始められて、現在は教育界全体を見渡す第一人者としてのご経歴を歩まれておられますが、今回のテーマである「伝えること/伝わること」について、教育関係者の皆さんの持っているイメージがどう変わってきたのか、その違いを肌で感じられたことなどはございますか。
山下 私が教員だった1980〜90年代に比べると、今の教育のあり方はやはりすごく変わりましたね。かつてはいかに伝えたいことを伝えるか、それが教育のあり方みたいなものとしてあったんですが、1998年の学習指導要領[*]の改訂で「総合的な学習の時間」というのが始まり、そのあたりから学習者の主体性とか子ども中心主義ということが前面に出てきました。
そうした流れで、今の学校教育の現場では「伝える」や「伝わる」という考え方はすでに否定されているというか、その言葉自体使われなくなっています。
前田 今回の特集担当である私自身、「伝える」「伝わる」を昔の概念のままアップデートできていないと感じています。そこで、山下先生には教育の分野を中心に、近年の変化も含めてお話を伺えればと思っています。
[*]文部科学省が告示する初等教育および中等教育における基準であり、同段階における「教育課程」の土台となるもの。各授業科目にかかる授業時間数、指導する内容、特別活動の内容などが細かく定められ、約10年ごとに改訂が行われている。