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弘本 由香里

2008年03月17日

難波津の春

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2008年03月17日

弘本 由香里

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産経新聞夕刊「感・彩・人コラム」

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

「難波津に咲くやこの花冬ごもり 今は春べと咲くやこの花」。『古今和歌集』仮名序に添えられた一首。冬を耐え春を迎え咲き誇る梅の花の気高さに、仁徳天皇の姿を重ねて表したといわれる歌で、仮名序の古註ではこの花とは梅の花とされている。

かくも、難波津の春を象徴する梅の花。その面影を宿すがごとく、今、大阪城梅林は、梅の盛りである。2月から3月にかけて、いつたずねても美しいものではあるが、私はとりわけ夕刻、西日を受けて輝く梅林を背に帰途につく群衆の様子を眺めるのが好きだ。どの顔もたいてい和やかで、夕陽を浴びて笑みをたたえ、足取りも軽そうに見える。

これほど多くの人々が、梅の花を目指して集まり、梅の花を愛でて幸せを感じることができる。なんでもないことのようでいて、何世紀もかけて培われてきたであろう、素朴でかけがえのない心性に触れる思いがするのである。

春の彼岸の天王寺を舞台にした能『弱法師』にも、難波津のこの花こと梅花が登場する。乞食(こつじき)の身となった盲目の主人公「弱法師」が、梅の香に心躍らせ、花びらを袖に受け、四天王寺の縁起を語る。そして、難波津に沈む夕陽に極楽浄土を想念し、満目青山は心にありと、難波の浦の致景の数々をうたいあげていく。

貴賎を問わず普く人々を包み込む、難波津の春の景色の中に描き出された豊かな心性こそ、梅花や夕陽とともに次代に受け継ぎたい誇るべき文化ではないか。

 

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