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情報誌CEL

江 弘毅

2007年03月30日

本の万華鏡"本の万華鏡 まちづくりと地域ブランド"を紐解くヒント

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媒体(Vol.)

備考

2007年03月30日

江 弘毅

都市・コミュニティ

地域活性化

情報誌CEL (Vol.80)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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『東京人生 SINCE 1962』

荒木経惟著 バジリコ 二〇〇六年

 街の現象というのは、さまざまな表現の変数群が縦横斜めとリゾーム(根茎)状に入り乱れているから、言語によってもテキストを解釈するように容易に読み解き表現することはできない。それを数値化し計量化しようというひどく的外れな発想は、経済軸からの「統計的アプローチ」に過ぎず、いつまでたっても「何で大阪のお好み焼きやきつねうどんはうまいのか」という核心に肉薄できない。だからその運動体でもある街について、データ的な情報をベースや解析軸にし、「プランニングしよう」「仕掛けてやろう」というスタンスを取る限り、「街づくり」はまったく不可能であるといえる。街を経済軸でとらえることは、「消費する場」としてのみの捉え方になり、この単眼的観点は、ゆっくりと、しかし致命的な仕方で街を損なってきたのではないか。「街をつくる」ということは、誰かが何かのために計画することではない。すなわちその通りを毎日歩いたり、そこでお茶を飲んだり、食事を楽しんだりして、時間軸とともに実際にその街の形成に加担することにほかならない。その意味で、「街づくり」とは行為遂行的である。

 荒木経惟の写真集『東京人生』は、六〇年代、七〇年代と一〇年刻みの「俺の写真人生がつまったアルバムなんだよね」であり、「けっして大阪人生とかさ、京都人生とかじゃだめなんだよ。東京なんだよ」である。「地域」というのは社会的なパトリ(※)、つまり「ある種の共同体」としてのコミュニケーションをはじめとする「やりとりの場」であり、それは「なぜ私はあなたではなく私なのか」と「なぜここは他所ならぬここなのか」の関係性の網の目、つまり「誰によってでも代替されない私が依って立つ〈地元〉」という視座がないと、単なる差異の記号でしか表徴できない。ファッション「ブランド」を語る際の空虚さは、その根本が記号消費であるからで、そこにはシャネルを着ていても、ルイ・ヴィトンを持っていても、ダサイ者はダサイという現実は浮かび上がってこない。

 

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