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情報誌CEL

藤野 一夫

2021年03月01日

コロナ禍におけるドイツの文化政策の今

作成年月日

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媒体(Vol.)

備考

2021年03月01日

藤野 一夫

住まい・生活
都市・コミュニティ

ライフスタイル
まちづくり
コミュニティ・デザイン

情報誌CEL (Vol.127)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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コロナ禍におけるドイツの緊急支援策は他国に類のない手厚さで注目されている。
なぜ、経済界だけでなく、芸術文化にも大規模な支援を行うのか。
その背景には、歴史を踏まえた「文化的生存配慮」という中心的理論と文化を社会インフラとして捉えるボトムアップ型の「地域主権」の構造が存在する。
その深層を理解し、日本の文化政策にもぜひ役立てたい。

科学的論拠と美感的構想力
新型コロナの猛威は、加速したグローバル化にあおられて全世界を覆ったが、その対策は、あたかも各国の政治指導者に課された共通テストのようだ。独裁国家の多くが強権的に感染を制圧した一方、西ヨーロッパなどの民主主義国は、市民権の尊重をめぐって苦戦を強いられた。さらに、科学的論拠を否認して大衆迎合する反知性主義が、新自由主義と軌を一にして拡大したことも浮き彫りとなった。自由と放任の履き違えが経済と政治を貫き、急激な感染拡大のみならず、国民の格差と分断を招いたのである。
そのなかで、2020年3月18日にドイツのアンゲラ・メルケル首相が行ったテレビ演説が世界中の共感を呼んだ。
「私たちは民主主義と一体です。強制ではなく、知識の共有と参加を生きる糧としています。現在直面しているのはまさに歴史的課題であり、結束して初めて乗り越えていけるのです」
科学的論拠を挙げながら理性的に語るメルケル。しかし言葉の隅々にまで温かい血が通う。民主主義、市民社会、連帯と結束など、反知性主義者の嫌う抽象概念が、彼女の口を通すと肉体を持ったリアリティとなる。この間、ドイツの指導者たちに際立つ言葉の存在感に深く心を揺さぶられてきた。しだいに既視感の正体が分かってきた。当地の劇場で経験してきた演劇やオペラと同じ感情が呼び覚まされ、喜怒哀楽を通して人間の倫理に向かい合っていたのだ。
もとより、西洋演劇の起源は市民の議論にあった。古代ギリシャの公共広場では政治集会や裁判が行われた。アゴラは、隣接する円形劇場とともに市民的公共性の発生装置であった。18世紀後半、劇作家のシラーは劇場を「道徳的施設」と定義した。戦後の文化政策を通して、ドイツの公共劇場は民主主義を紡ぎ出す社会インフラとなってきたのである。科学的論拠と美感的構想力が結びつくことで利害打算を超えた公正な政治的判断が生まれる。それが市民社会に共通するものとして合意される。

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