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情報誌CEL

藤井 保文

2020年11月01日

スマートシティの根本を問い直す − 「アフターデジタル」時代の都市のあり方

作成年月日

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媒体(Vol.)

備考

2020年11月01日

藤井 保文

エネルギー・環境
都市・コミュニティ

エネルギー・ライフスタイル
都市システム・構造
まちづくり

情報誌CEL (Vol.126)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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コロナ禍以前から産業界の重要トピックである、スマートシティの促進。しかし、テクノロジーばかりを重視した設計が行われてしまえば、文化や歴史を喪失した、同質的な都市が乱立する事態になりかねない。魅力的な都市を創造するためにデジタル技術をいかに役立てていくべきか。日本の目指すべきスマートシティのあり方を、ビービットの藤井保文氏に伺った。

「アフターデジタル」時代の街づくり

オンラインとオフラインの境界がなくなった世界が、すぐ目の前にある。それを私は「アフターデジタル」の時代と呼んでいます。日本ではまだ、このふたつは別の存在であり、ときどきオンラインとオフラインが重なり合うこともあるという程度かもしれません。けれども遅かれ早かれ、私たちが「リアル」だと思っている部分においても、すべての行動がデータ化されて利用できるようになり、「リアル」もまたデジタルの一領域にすぎなくなってしまうでしょう。ビジネスにおいてこのような思考法は、OMO(Online Merges with Offline=オンラインとオフラインの融合)とも呼ばれています。
こうした見通しを話すと不安を抱く人もいます。しかし実はそれほど目新しいことではないのかもしれません。たとえば、かつて小さな街の商店街では、お店の人が、いつも当たり前のようにお客さんの顔を見て「今日もあのお客さんは元気そうだな」とか「子どもが小学校へ上がったんだな」などと観察していたでしょう。顧客の属性だけでなく、そのときの状況まで、すべて1対1で把握していたのです。都市化が進み、生活圏が広がることで住民は匿名化しましたが、ある意味で「アフターデジタル」には、この「古きよき時代」へ戻るのと似た側面がある。もし行動データが適切に利用されるなら、お店を訪れたお客さんは「見知らぬ誰か」ではなく、特定の状況に置かれた馴染みのお客さんとしてサービスを受けることになるからです。
日本では個人がデータを知らぬまに抜き取られてしまうことへの問題や、逆にデータを集めるためにはどうしたらよいのか、といった部分ばかりがクローズアップされることが多い。しかし行動データは、「ただ集めれば終わり」「たくさん集めれば勝ち」というようなものではありません。街のよさであれ、企業のサービスであれ、ユーザーは体験を通して初めて接点をもちます。ですからデータよりもUX(ユーザーエクスペリエンス)が先にあり、このふたつが次々とつながっていくことで初めて意味をもち、よい循環が生まれていくのです。