
松田 雅央
2012年07月10日作成年月日  | 
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                   2012年07月10日  | 
                松田 雅央  | 
                 エネルギー・環境  | 
                 再生可能エネルギー  | 
                情報誌CEL (Vol.101)  | 
                
                
                
                
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 国としてのエネルギー政策があるように、自治体や家庭にもそれぞれの政策があります。家庭のエネルギー政策とは大げさな書き方ですが、冬の長いドイツでは高額の費用をかけて暖房給湯設備を設置しなければなりませんし、燃料の節約も重要なポイントです。経済性を考え理詰めで長期計画を立てるドイツ人の姿を見るにつけ、やはり家庭のエネルギー利用にも政策があってしかるべきと感じます。
 本稿では経済性と環境意識という切り口から、ドイツの国・自治体・家庭がそれぞれ取り組むエネルギー政策の考え方を解き明かしたいと思います。
再生可能エネルギーを選ぶわけ
 まず初めにドイツの政策をかいつまんで説明しましょう。
 ドイツの代表的なエネルギー政策といえば脱原発と再生可能エネルギーの導入促進です。2022年までにすべての原発を閉鎖する一方、再生可能エネルギーの開発を加速させ、国内産石炭の利用も引き続き主力とします。2011年現在、消費電力の22%が原子力で、19%がバイオマス・風力・水力・太陽光などの再生可能エネルギーに由来する電力(エコ電力)。2030年には国内電力需要の50%、そして2050年には100%をエコ電力でまかなうのが連邦環境省を中心に描く野心的なビジョンです。
 もちろん、エネルギー政策は経済的な側面からも裏付けられなければなりません。経済負担が産業にも家庭にも受け入れ可能であり、長期的に見てプラスとなるのが理想です。
 例えば再生可能エネルギーをはじめとする環境ビジネスは雇用を創出し、環境技術で世界の先頭を走れば設備やノウハウを輸出することができます。ドイツが産業としての再生可能エネルギーに力を入れるのは、経済的な魅力があるからに他なりません。今でこそ多くの国が同様のコンセプトを掲げていますが、世界に先駆けて認識した先見性と実行力がドイツの凄さです。すべてが予想通りに進むとは考えられませんし相応のリスクを伴いますが、逆に成功すればうまみも大きい。これが世界のトップを走るグリーン・パイオニアの特権です。
情報誌CEL