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情報誌CEL

中込 正樹

2012年01月05日

社会的視点からの意思決定の可能性−ニューロエコノミックスによる一考察

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2012年01月05日

中込 正樹

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情報誌CEL (Vol.98)

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 近年、社会的視点を考慮して行われる経済的意思決定について、人々の関心が高まっている。たとえば社会的責任投資(SRI)の問題もその例であり、また直近の話題としては、東日本大震災後の電力節約についての人々の協力的行動もその1つの例である。本稿ではこれらの例を具体的に説明するというよりも、むしろ分析の方向性を私たち自身に向けて、そもそもこのような社会的視点を考慮した意思決定ができる人間の潜在的可能性について、最近のニューロエコノミックス的視点から論じてみようと思う。
 社会的な意味や文脈を読んで行動する人間の潜在的可能性はどこから生じるのか。こうした問題は従来の経済学がもっとも苦手とするところである。その理由は周知のように、これまでの経済学では、もっぱら人間の個人主義的な合理性を、自らの理論的前提として、経済社会の動きを説明する論理を組み立ててきたからである。市場の中で得られる価格情報や財の数量・品質に関する基本的情報があれば、それで個人主義的な合理的意思決定は可能であり、さらに周りの人々の心やその人々の作り出す「空気(雰囲気)」などを、なぜ追加的に読まなければならないのだろうか、と考えてしまうのである。こうして、もし従来の経済学の理論的世界観に身を置くならば、人が社会的意味や文脈を読んで意思決定することの必要性・重要性を見いだすことは不可能になる。
 しかし、人間の「賢さ」とは何だろうか。1998年にノーベル経済学賞を受賞したアマルティア・センが「合理的な愚か者」という言葉で強烈に批判したように(※5)、従来の経済学が前提とする合理的経済人は、確かに「合理的」かもしれないが、しかしもしこうした人が現実世界に生きているとしたら、その人は決して「賢い人」とは言われないであろう。このことは、従来の合理性という概念では、人間が社会の中で生きていくためにもっとも必要なもの・重要なものを把握できないということを意味しているのである。では改めて、人間の「賢さ」の本質をどのように理解したらよいのだろうか。また人間の「賢さ」と、社会的な意味や文脈を考えて行動するということの関係を、どのように考えたらよいのであろうか。

(※5)Sen, A. (1982), Choice, Welfare and Measurement,Oxford: Basil Blackwell.(大庭健、川本隆史訳「合理的な愚か者」勁草書房(1989年))

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