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情報誌CEL

寺田 敏紀

2011年01月11日

時の話題 「木の文化を大切にするまち・京都」市民会議の提言について

作成年月日

執筆者名

研究領域

カテゴリー

媒体(Vol.)

備考

2011年01月11日

寺田 敏紀

エネルギー・環境
都市・コミュニティ

地域環境
コミュニティ・デザイン
地域活性化

情報誌CEL (Vol.95)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

−市民会議の提言−

 京都議定書誕生の地であり、環境モデル都市である歴史都市・京都は、環境を切り口に都市特性を生かしながら明日の京都を切り開いていく都市戦略として4つのシンボルプロジェクトを推進している。その内の一つである「木の文化を大切にするまち・京都」のあり方及び推進方策を検討するため、宗教学者の山折哲雄先生を座長に幅広い学識経験者や各種団体の代表者、公募市民が参加する市民会議を設置し、1年余の熱心な議論の後、平成22年3月に以下の3つのテーマに即して提言をいただいた。
 第1は、「森と緑」として、京都市内の森林を持続的に保全・活用する方策であり、第2は「京都環境配慮建築物」として、京都ならではの環境配慮建築物のあり方や評価基準であり、第3は、「平成の京町家」として、京町家の知恵や文化と先端技術の融合した環境と景観に配慮した住宅のあり方と普及促進策である。

−木の文化を大切にするまち・京都−

 市域の4分の3が森林で構成され、社寺仏閣や京町家など多くの歴史的建造物の残る京都市にとって、木の文化を大切にするまちづくりは、他に類例を見ない個性的で魅力的な都市形成を目指す都市経営戦略に他ならない。
 さて、木の文化を大切にするまちとは、京都の市街地を取り囲む東山、北山、西山の三山と都市との関係性を人々の生活や都市活動に生かすまちである。コンビニと携帯さえあれば一人でも生きていけるという錯覚すら覚える現代社会においては、個人と社会とのつながりは希薄になり、京都市においても三山は、遠くから見るだけの存在となっている。
 かつて三山は、都で人々が生きていくうえでかけがえのない存在であった。建築用材や燃料・食糧など手入れされた三山からの恵みにより暮らしを成り立たせてきた。この美しく手入れされた三山が美しい鴨川の流れをつくり、この美しく豊富な水が暮らしや産業を支え、さらには、治山治水や温室効果ガスの吸収効果により都の安全に寄与してきた。
 また、信仰の地であり社寺詣での対象でもあった三山は都人の精神生活の支柱であるとともに、三山の四季折々の変化に刺激を受けた都人の美意識は、文学・美術・芸能を発展させ今日の日本文化の根本を成立させてきた。
 かつての都人は、三山の恵みを巧みに使いこなして建築した京町家をはじめとする木造家屋において、三山の恵みにより日常の暮らしと家業を成り立たせ、三山の大きな自然と庭に形成した小さな自然との共生の中に生まれた文化・芸術を楽しむという「庭屋一如」の暮らしの文化を形成してきた。そして、こうした都市活動が、今日いうところの持続可能で、環境と景観にやさしい都市を成立させたのである。
 木の文化を大切にするまち・京都とは、こうした都市形成の原理に学び、その良いところは継承しながら、現代的な技術・知見を取り入れていく環境先進都市の姿に他ならない。

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