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情報誌CEL

京 雅也

2010年10月01日

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2010年10月01日

京 雅也

住まい・生活

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情報誌CEL (Vol.94)

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 今の若い世代は、将来に対して大きな不安を抱いているという。就職や仕事においても、一度「正規」のルートから外れてしまうと、将来の全てを失ってしまいかねないのではないかと。だから、「絶対に失敗をしたくはない」ということになる。リスクを負うことを非常に不安視している。やり直しがきかない社会であるというより、むしろ、やり直しができないと皆が思ってしまっている社会になっているようだ。
 私の周囲の若い人たちを見ていても、それなりに優秀だけれど、非常に慎重だという印象が少なくはない。限られた範囲の中で、とにかく着実に、という感じ。先日も、留学を希望する学生が大きく減っていると報じられていたように、今の若い世代の人たちには、大きな飛躍よりも、目の前の確実性を求める傾向が強いのかもしれない。もっとも、親の世代の経済的な余裕の無さが大きく影響していることも否めない。ただ、若者らしい、冒険を怖れない人たちが相対的に少なくなると、その社会はどうなっていくのだろうかと少し心配になってくる。
 今の世の中の状態を見ていると、長引く不況や経済のグローバル化の波の中で翻弄され、とりわけ若い世代の人たちが、人生の目的や自分の居場所を見失い、大きな閉塞感に取りまかれてしまっているようにも感じられる。就職や結婚に対しても大きな期待が持てない。未来に対する夢や希望も感じられないということになる。結果として社会全体が沈滞化していく。では、どうすれば良いのだろうか。
 神野直彦さんは、そうした問題は、世代性を越え、社会的な連帯意識を醸成していかない限り、制度的な対応だけでは解決できないという。それぞれの人が、自分と社会との関係をしっかりと考えていくことが、その一歩である。働くことの意味や楽しみ、生きることの幸せなども、自分のことだけではなく、他者とのつながりの中でなくては捉えられないのだと。同様に、今回の香山リカさんとのトークにおいても、幸せということのかたちが非常に多様であるということに改めて気づかされた。そしてやはり、他者とともにつながっているからこそ、感じ取れる幸せがあるということも。人の生き方は多様である。人生の成功も失敗も表裏のものであると言える。それは、決してひとつの尺度や価値観だけではかるべきものではないだろう。