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情報誌CEL

山田 昌弘

2010年07月01日

パラサイトシングルと家族の現在

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2010年07月01日

山田 昌弘

住まい・生活

ライフスタイル
その他

情報誌CEL (Vol.93)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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 ここ10年の間に、「パラサイトシングル」「希望格差社会」「婚活」というキーワードを編み出してきたが、その言葉の底流にある基本的認識はひとつである。それは、「従来型の家族が作れない」時代になったということである。
 現代では、家族の多様化とか、自由化といわれている。それは、伝統的な家族から離れて、自分の好きな形の家族が作れる可能性が開かれたという意味ではプラスかもしれないが、むしろ、自分が望んでも従来型の家族でさえ、もつことができない人々が増えているということでもある。つまり、自分が望むとおりの家族を作れる人々と、家族を作れない人々に分裂しているのが、日本の現状なのである。それが、私の言う希望格差社会の一側面なのだ。
 1980年代に、学卒後も親と同居して基本的生活を依存しながら生活を楽しむ未婚者、パラサイトシングルが増大した。彼らは、このライフスタイルが一生続くと思っていたのではなく、いずれ結婚することを前提に、生活を楽しんでいたのだ。女性はいずれ、収入が高い男性と出会って結婚することを当然と思い、男性は収入がいずれ高くなれば結婚できるのだと思っていた。95年頃には、18〜35歳の親同居未婚者は、約1,100万人、つまり、日本の人口の1割弱にまで達した。
 しかし90年以降、バブル崩壊、金融危機、リーマンショックと経済状況が悪化し、その度に若年層に経済悪化の被害が押しつけられる。男女とも非正規雇用が増大し、若年正社員でも収入の伸びが期待できなくなる。2005年には、学生を除く18歳から34歳までの未婚男性の約3割弱、女性は4割以上が非正規雇用者となった。男性同士間、女性同士間の収入格差が目立つようになる。
 日本では、共働きであっても、「男性が家計を支えるのが当然」という意識が強い。若年女性の専業主婦志向も強まっている。その結果、正社員で収入が高い男性は結婚できても、そうでない男性は女性から選ばれにくい。女性は、うまく収入の高い男性と結婚できる人もいるが、出会えずに親と同居し続ける未婚女性も増えている。つまり、「夫が仕事、妻が家事で子どもを育てる」という従来のライフスタイルでさえも手に入りにくい状況が出てきたのだ。
 その結果、親と同居し続ける壮年未婚者が急増している。総務省統計研修所の西文彦研究官の分析によれば、35〜44歳の親同居未婚者は、2008年に269万人に達し、増大し続けている。男女とも失業者や非正規雇用者が多い(だから結婚していないのだから)。彼らは、決して親同居未婚というライフスタイルを選んでいるわけではない。その先には、親が亡くなったときに、「孤立」した生活という状況が待ち受けている。

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