
豊田 尚吾
                 
                
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                   2010年04月30日  | 
                
                    豊田 尚吾
                    
                    
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                 エネルギー・環境  | 
                 地球環境  | 
                ディスカッションペーパー  | 
                
                
                
                
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1.はじめに
生物多様性問題が関心を集めつつある。朝日新聞は2010年4月20日に生物多様性の特集を組んだ。後述の生物多様性条約COP10が開催される10月まで、毎月6回に渡り特集を組むとのことである。企業の環境レポート、あるいはCSRレポートにも生物多様性の確保を取り入れることが一般化しつつある。大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所(CEL)も、組織で作成している季刊誌(第92号)の特集テーマに「日々の暮らしから考える生物多様性」を設定し、2010年3月26日に発行した。
とはいえ、後に述べるようなデータが物語るように、生物多様性問題に対する、生活者の認知は高いとはいえない。一方で時系列的には徐々に関心が高まりつつあるとの結果もある。この問題が重要であると合意できるならば、今が積極的な啓発のチャンスであるといえるかもしれない。
このように、本稿は、生物多様性確保の問題が重要であるとの認識のもと、その認知度の低さの一方で、時系列で見ると関心が高まりつつあることに注目した。持続可能な社会を形成するためには、生物多様性に対する関心を高め、コミットを促すことが必要であると考え、それをコミュニケーション問題と捉えて検討した。そして、それに関わり合いを持とうと動機付けるための方法論について考察を行った。
そのために、まず生物多様性という、複雑で難しいテーマを直感的に理解するためのコミュニケーション方法について考えたあと、それを浸透させる方法などについて述べていく。
以下、第2節では、生物多様性に関する基本情報の確認、即ち簡単に定義を概括したあと、生活者にとっての、生物多様性の容易な理解方法として、生態系サービスという考えを提示する。加えて過去の取り組みの経緯、足下の動きなども見ておく。第3節は、生活者が生物多様性や、それと関連する事項にどのような意識を持っているのかについて、データを用いて分析を行う。最後の第4節では、コミュニケーション問題として「生活者にとっての生物多様性問題」を捉え、あるべき方向性に対する考えを述べる。
情報誌CEL