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情報誌CEL

養父 志乃夫

2010年03月26日

里山は循環型社会の原点

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2010年03月26日

養父 志乃夫

エネルギー・環境

地球環境

情報誌CEL (Vol.92)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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 里山とは、「水と空気、土、茅場や雑木林から納屋、家畜小屋、畑、果樹園、竹林、植林、溜池、小川、水田、土手、畦、里道など一連の環境要素がつながった暮らしの場」です。この暮らしの場はヒトだけでない多様な動植物の暮らしの場でもあり、人が育んできたといえます。その謎を解くために郊外の農家に出向き、昭和30年代までの里山の姿を古老にうかがってみました。
 その里山の頂上付近は草地で、当時は屋根を葺くカヤを得る茅場であり、冬には刈り取り持ち帰ったといいます。尾根は乾燥と貧栄養な土地でも成長するマツ林で、伐採したマツ材は建築や農用材に使い、繰り返し自然発生する稚樹で再生させてきたのです。
 また、斜面の中腹以下ではコナラやクヌギ等の雑木を20〜25年毎に伐採し、燃料の薪や炭を採取しました。子ども達も焚き付け用にマツや雑木の落葉を集めました。雑木の切株からは伐採毎に繰り返し新芽が萌芽し、大気中のCO2を吸収して再生していたので、暮らしから出るCO2も草木が吸収し、大気中の濃度を調整していたのです。農家では農耕用の牛や馬を飼い、餌の刈草を得るため土手は年1回、畦は年2〜3回刈り払い、牛馬の排泄物は雑木林の落葉と混ぜて堆肥にして田畑へ戻しました。
 一方、人の排泄物も下肥として田畑に還元しました。風呂の残湯や炊事の雑排水も直接は川へ流さず、すべて肥えとして田畑に循環させ、浄化した残水が川へ流れたのです。だから川水も汚れません。当時の川ではゲンジボタルをはじめ、モクズガニやテナガエビ、ウグイなど数多くの生物が生息し、一部は食材として暮らしに循環しました。かつて日本列島の里山は自然環境を完全に破壊せず、そこからの収穫物を生活に活かし、作物や動植物がすべての「廃棄物」を再利用するシステムが定着していました。そこには昆虫の王様カブトムシや国蝶オオムラサキを多数みることもできました。

 

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