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情報誌CEL

林 望、木全 吉彦、 山下満智子

2011年09月30日

【鼎談】土のある暮らしと文化・自然観 - 日英の風土・ライフスタイルから

作成年月日

執筆者名

研究領域

カテゴリー

媒体(Vol.)

備考

2011年09月30日

林 望、木全 吉彦、 山下満智子

エネルギー・環境
住まい・生活

地域環境
ライフスタイル

情報誌CEL (Vol.97)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

 今回は、『イギリスはおいしい』などの著作を持ち、イギリスの自然風土や生活文化への深い造詣で知られる林望氏を迎えての鼎談。イギリスと日本における自然観の比較などを通して、人々の暮らしと自然との関係、日常の暮らしの周辺にある「土」の存在価値や魅力などについて、多彩な観点からのお話をうかがいました。


-自然とともに生きてこそ幸せ-

木全
 私たちの研究所では、生活者の立場から持続可能な社会について考えていこうとしています。東日本大震災を目のあたりにし、人々の意識が大きく転換しようとしている今、もう一度、人の暮らしというものをしっかりと見つめ直していく必要があると考えています。今回は「土のある暮らし」がテーマですが、自然と共生する生き方、身近な自然の価値を見直そうということで、日英の文化・自然観の違いなどをうかがいながら、日本の社会の今後についても展望していきたいと思います。

 このテーマをうかがって考えたのは、19世紀末のイギリスがひとつの参考になるのではないかということでした。イギリスは100年先を歩いてきた国だと僕は思っています。我々の国より産業革命が100年早かったし、近代化も100年早かった。それによる、さまざまな矛盾も最初に経験し、その対応策や解決方法についても早くから模索してきた歴史があります。自然とともに暮らすことについては、例えばガーデン・シティ(田園都市)というものを我々よりも100年早く構想してきました。
木全
 確かに日本でも、戦後の復興から高度経済成長へとひた走ってきましたが、その先に、やがては行き詰まりがくるだろうことは予見されていましたね。従来のエネルギー多消費型、自然破壊型の経済活動やライフスタイルでいいのかと。しかし我々は、その問題に正面から向き合うことなく、ある意味で放置してきました。

 僕は、国内でもあちこち旅をしていて、いつも思うことは、日本は狭い国土にたくさんの人がいると言っているけど、実際には人間がいないということです。地方に行くと、そこら中が耕作放棄地や休耕田。耕されていても、働いているのは高齢者ばかりで後継者はいない。これではあと20年経つと、ほとんどが耕作放棄地になってしまいます。
山下
 今のうちに何とかしないと、この国の自然も地方の暮らしも、全く成り立たなくなってしまうでしょう。このままではどうなっていくのか、本当に心配です。

 日本の国土を見ると、田があり、畑がある。これは巨大な酸素タンク。同時に水田は巨大な貯水池ですね。日本の平野という平野が貯水池で覆われていた。そこから水が浸み出して海に流れていく。それが近海漁業を養っていた。もう少し標高が高いところに行けば里山。これは人工の自然ですが、ここでも、林業が今ほとんど壊滅しかかっています。有史以来、私たちの先祖が美しい里山をつくってきたのに、これを片端から壊してしまっている。いずれこういう近代化、工業化は行き詰まるに決まっている。