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情報誌CEL

神野 直彦

2010年10月01日

持続可能な社会のために、世代を越えた共生の基盤を

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2010年10月01日

神野 直彦

住まい・生活
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コミュニティ・デザイン

情報誌CEL (Vol.94)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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−持続可能性の意味と進行する2つの環境破壊−
 1987年に国連のブルントラント委員会が出した報告書『我らが共有する未来(Our Common Future)』の中で、「持続可能な開発とは、将来世代が自らの欲求を充足する能力を損なうことなく、今日世代の欲求を満たすような開発のこと」であると定義されている。
 ここでは、主として自然環境の問題が念頭に置かれている。もちろん、人間がどう破壊しようとも、自然環境は残る。問題は、人類がこのまま自然破壊を続けるならば、種としての人類が存在できなくなるということだ。私たちの未来、次世代のために、この地球上の自然を人間が生存できる環境として引き継いでいくということ。それは人類が生命体として再生産できる環境を残していくということである。
 1991年、私の恩師の宇澤弘文東京大学名誉教授のアドバイスをもとに、ヨハネ・パウロ二世は世界に向けて回勅を教示した。その中で、法王は地球上で現在2つの環境破壊が行われていると警告している。その1つは、自然環境の破壊。この環境破壊には、人間もようやく気がつき始めたと語っている。そしてもう1つの環境破壊は、人的環境の破壊である。人と人とが共に生きていくということにおいて必要な絆が、今、大きく損なわれはじめているのだと語っている。これは、人類の未来に大きな影を落とすものである。
 私たち個人個人に終わりがあるのと同様に、種としての人間にも初めがあって終わりがある。地球上の歴史に限ってみれば、地球を支配した種は、その支配の理由でもって滅びていく。恐竜は大きさが故に、地球上で繁栄を誇り、それが故に滅びた。人間は、脳という思考する力を授かり、「知恵のある人」として地上に生まれたが故に、滅びていくのかもしれない。そうだとしても、その滅びの時まで、知恵のある人として存在したことを未来に向かって洗練していく使命をもつのではないか。
 私たちはその知恵を使うことで、自分たちが生きていく環境を自分たちで破壊することを、なんとしてでも回避しなければならない。「人間と自然」「人間と人間」という2つの環境を自滅するかのようにして破壊していくのは、あまりにも愚かなことである。