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CELレポート

前市岡 楽正

1999年12月28日

書評「セーフティーネットの政治経済学」

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1999年12月28日

前市岡 楽正

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CELレポート (Vol.4)

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まずは要旨。現在の日本経済は信用収縮とデフレという2 つの悪循環に陥っている。不況からの脱出と経済再生のためには、現在支配的な新古典派経済学に基づく政策もケインズ的政策も有効ではない。セーフティーネット(安全網)の再構築という戦略に基づき、金融・雇用・社会保障・地方分権などの分野での大胆な制度改革が必要である。

新古典派の「小さな政府」論や規制緩和政策は事態を悪化させる。バブルの主因は金融自由化であったし、バフル崩壊後の信用収縮の悪循環(大量の不良債権→貸し渋り→景気の悪化→不良債権の膨張)を加速させているのも、BIS 自己資本比率規制やペイオフ凍結解除などの金融自由化路線の推進である。現に、金融自由化を進めれば進めるほど公的資金投入額は拡大している。また、安易なリストラや雇用流動化政策は、社会保障制度の後退と相まって、将来に対する不安感を高め、消費を抑制させ、景気が悪化し…というデフレの悪循環をもたらしている。こうした状況下では、大規模な公共事業や減税などのケインジアン的処方簑は有効でなく卒?バフル崩壊後の100 兆円にも上る公共事業が大きな成果を上げ得なかったことがそれを物語っている。

新古典派は、個々人による自己利益の追求を市場メカニズムが最適に自動調整してくれるというが、市場経済が良好に機能するためには、社会保障制度や中央銀行の最後の貸し手機能などのセーフティーネットに対する人々の信任が前提として必要である。労働を例にとれば、年金・失業保険等の社会保障制度や、職業訓練制度や資格制度の整備、各種の労働法などがなければ労働市場は安定的に機能せず、社会不安やデフレスパイラルが生じてしまう。新古典派の政策は、市場経済運行の不可欠の前提であるセーラティーネットを無視ないし軽視し、ネットに穴をあけ、市場経済を機能不全に陥らせる。

次にコメント。著者は「規制緩和という呪文さえ唱えれば何とかなるという一種の集団催眠が流され続けている」と述べる、同感である。適切に管理されることのない市場経済が、バブルと不況、分配の不平等化、寡占や独占の形成、環境の悪化などの重大な欠陥を持つことは歴史的に証明済みである。セーフティーネットは、市場経済の暴走を制御するために自覚的に形成されてきた重要なチェック装置の一つである。

 

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