
橘木 俊詔
2009年07月01日作成年月日  | 
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                   2009年07月01日  | 
                橘木 俊詔  | 
                 住まい・生活  | 
                 ライフスタイル  | 
                情報誌CEL (Vol.89)  | 
                
                
                
                
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はじめに
世の中はリスクの高まっている時代となった。地球温暖化の進行によって気候が不順となり、集中豪雨や台風といった自然現象によるリスクが頻発している。地震や火山噴火とい
った昔からある自然災害の数が増加したとは言えないが、いつふりかかってくるか予知できないリスクもある。
現代において特徴的なリスクは、人々の生活の営みに際して、高度な技術を用いながら行うようになったことの効果が大きい。例えば、鉄道、航空機、自動車などを用いて移動するときに遭遇する交通事故、コンピュータを日常で使用するようになってからはハッカーに襲われるとか、コンピュータウィルスに侵されるなどのリスクがある。さらに犯罪の数が増加していることも現代の特色である。「ふり込め詐欺」などという新犯罪は、人々が現金を扱わずに生活するようになった技術の時代に、悪知恵を働かす人が犯す犯罪となったのである。
技術の発展とはそう関係なく、人類に常に起こるリスクとして、死亡、病気、高齢、要介護といった身体上の変化に伴うリスクもある。あるいは働く場所を失う失業とか、低賃金の仕事にしか就けないというのもリスクの一つである。これらは人が食べていくとか、生活をしていくといったことに関して、誰かの助けを必要としたり、自分でそのリスクに対処したりせねばならないところの生活上のリスクである。
人類の英知は、これらのリスクに対応するため、大昔から保険制度というものをつくってきた。不幸が発生したときの損害補償を行うのが保険制度であり、主として現金給付という姿で対処してきた。生命保険、医療保険、介護保険、失業保険、生活保護制度といった制度がこれに相当する。
情報誌CEL