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2019年07月26日 by 奥田 浩二

スタートアップとのつきあいかた(7)

スタートアップとのつきあいかた(7):

 ベンチャービジネスの活性化 福岡県福岡市の事例(中編)

 
 福岡市天神に開設した起業拠点FGN(Fukuoka Growth Next)。そこに九州大学起業部の活動が加わります。


「サッカー部がサッカーをするがごとく起業部は学生起業」する 

 2017年6月に九州大学に新しい部活動が誕生します。その名前は「起業部」。起業部はサッカー部や陸上部と同じように大学公認の部(活動)です。 立ち上げたのは、熊野正樹准教授です。

 熊野氏は、同志社大学、神戸大学を経て、2014年4月に熊本県の崇城大学に起業家教育の専任教育として赴任します。そして、日本初となる「起業部」を2014年10月に立ち上げました。(注1)

        (注1)熊野准教授の九州大学に至るまでの状況については下記のレポートもご参照ください。
            http://www.og-cel.jp/search/1261933_16068.html

 
 その後、九州大学に着任して立ち上げたのが九州大学起業部です。立ち上げ早々に150人もの部員を獲得し、大きな注目を集めます。その起業部の部室をFGNに設置しました。

 起業部が目指すのは新しい事業の創造です。それをビジネスプランの形に落とし込み、ビジネスプランコンテストの出場を目指します。ビジネスプランの創造と練り上げが部活動の「練習」です。サッカー部が試合で練習の成果を試すように、起業部はビジネスプランコンテストで活動の成果を試します。コンテストでうまくいったことだけでなく、失敗したこともノウハウや知見として起業部に蓄積します。それが、部の財産となっていきます。起業部のビジネスプランは、すでに各地のコンテストで入賞実績を出しており、そのことが起業部の知名度をさらに高めるという好循環が起こりつつあります。もちろん、その先にあるのは実際の起業です。

 起業部では、1年に平均5社、10年で50社の学生ベンチャーを創出し、うち5社の上場企業を創出することを目標にしています。

図表1. FGNの部室に掲げられたコンテスト入賞のパネル

 

 筆者撮影(2017年12月撮影)


 九州大学では、2017年から独自のビジネスプランコンテスト(九州大学ビジネスプランコンテスト)も開始しました。このコンテストには起業部以外も参加できます。開始場所はFGNです。


オール九州体制でのコンテストの開催

 九州大学ビジネスプランコンテストの一番の特徴は、オール九州のバックアップ体制を構築していることです。
 第2回九州大学ビジネスプランコンテストの開催資料(注2)によると、地元の大手企業が協賛に名前を連ねており、福岡県と福岡市を含む地元の起業/産業支援機関やメディア(新聞社やテレビ放送)が後援に入っています。ここまで広範囲の協賛・後援体制を構築しているビジネスプランコンテストは全国でも稀です。


       (注2) https://www.kyushu-u.ac.jp/f/34532/%E3%83%BB18_11_15.pdf

  

 また、第2回の発表プランの中には、大学の技術を活用した事業プランがいくつか見受けられました。これは、これまで大学の産学連携機関やTLO(技術移転機関)が行っていた分野の活動です。九州大学のコンテストでは、学生が「ビジネスプラン」という切り口で大学の研究成果の事業化を考えるという、新しい動きの実現を予感させるものにもなっています。

 起業部が活動を展開し、またビジネスプランなどをブラッシュアップしていく際に、FGNに拠点を置いていることは、起業部員にとって大きな魅力でしょう。起業者というロールモデルが目の前にいることに加え、起業に関連する多くのセミナーやイベントからも刺激を得ることができます。また、起業部だけでなく、FGNに入居している企業にとっても、起業部の存在は、刺激であるとともにリクルーティングのきっかけとなることが想像できます。FGNは、このような相乗効果を実現する「場」にもなっています。

 そのFGNは、2019年5月31日に新しい姿がオープンしました。次回はその内容についてご紹介します。

 今回のまとめ

  ・九州大学起業部は大学公認の部(活動)です。
  ・サッカー部が試合に出るごとく、起業部はビジネスプランコンテストに参加します。
  ・九州大学が開始したビジネスプランコンテストはオール九州の協力体制を構築しています。
  ・起業部の部室がFGNにあることで、部員と起業家との相乗効果が期待できます。

 

 次回の予告

  ・Fukuoka Growth Nextのリニューアル

 スタートアップとのつきかいかた 記事一覧

   第1回:起業の現状はどのようになっているのか
      http://www.og-cel.jp/information/1278928_15932.html


   第2回:2つの起業タイプ
      http://www.og-cel.jp/column/1279678_15959.html


   第3回:スモールビジネスの活性化 茨城県取手市・龍ヶ崎市の事例(前編)

      http://www.og-cel.jp/column/1279684_15959.html


   第4回:スモールビジネスの活性化 茨城県取手市・龍ヶ崎市の事例(中編)

      http://www.og-cel.jp/column/1279955_15959.html


   第5回:スモールビジネスの活性化 茨城県取手市・龍ヶ崎市の事例(後編)
      http://www.og-cel.jp/column/1280447_15959.html


   第6回:ベンチャービジネスの活性化 福岡県福岡市の事例(前編)
      http://www.og-cel.jp/column/1280808_15959.html


(執筆者:エネルギー・文化研究所 研究員 奥田 浩二)

本連載について

 本コラムでは、起業で地域を元気にするための鍵を考えていきます。記載内容は、執筆者が入手した情報をもとにしていますが、執筆者の意見を含んでいます。各内容は、執筆者が所属する機関・企業の公式・公的な見解を表明するものではありません

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