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2019年05月27日 by 奥田 浩二

スタートアップとのつきあいかた(4)

スモールビジネスの活性化

〜茨城県取手市・龍ヶ崎市の事例(中編)〜


事例「茨城県取手市・龍ヶ崎市」の続きです(注1)。取手市で始まった活動は、龍ヶ崎市にも広がっていきます。


注1)前回の内容は下記をご参照ください。

      第3回:スモールビジネスの活性化 茨城県取手市・龍ヶ崎市の事例(前編)

              http://www.og-cel.jp/column/1279684_15959.html

    本内容は「関西ベンチャー学会誌」(Vol.11、2019年2月)に掲載された論文を再編集したものです。  

    ただし、情報は一部更新しています。
    奥田浩二「茨城県取手市・龍ヶ崎市に見る起業支援の仕組み作り」『関西ベンチャー学会誌』Vol.11, 51-60頁, 2019年


 

 龍ヶ崎市と広域連携を構成

 取手市と龍ケ崎市は、起業支援の連携のため、2017年11月に「創業支援広域連携に関する協定書」を結びました。龍ヶ崎市は取手市の東に隣接しており、人口約8万人、企業数1842社のまちです。取手市と合わせると、人口約20万人、企業数約4,000になります。

 そして、広域連携を促進する機関「Match広域連携推進本部」(以下、Matchタウン)を設立しました。メンバーは、両市、商工会、金融機関、そして教育機関などです。これにより、龍ヶ崎市は、独自のレンタルオフィスを開設するとともに、取手市で提供されている起業支援サービスを利用できるようになりました。

 広域連携で目指しているのは規模の経済の実現です。Matchタウンの吉田本部長は、「起業支援活動の自主運営を目指すには、ある程度の規模が必要」であると連携の意義を語っています。ここで「自主運営」とは、活動で得た収益で、活動を回し続けるということです。

 今回紹介している取組みは、政府の地方創生に関する交付金を活用しています。取手市・龍ヶ崎市が目指すのは、近い将来、レンタルオフィスの賃料収入や情報誌での企業広告収入などで、活動を自立化させることです。前回、取手市のレンタルオフィスはかなり広いと述べましたが、その理由はこの自立化のための収益源の一つとするためだったのです。ただし、闇雲に広くしても、逆に費用がかかるだけです。Matchタウンの吉田本部長は、起業家にレンタルオフィスの提供などを行う民間企業の社長でもあります。その経験からはじき出した数字が、114坪200人なのです。


2017年に始まった新たな取り組み

(1)ビジネスプランコンテストの開催

 取手市では2017年3月から年に一度市民参加型のコンテストを開催しています。第2回(2018年3月)からは、連携協定に基づき龍ヶ崎市も参加しています。特徴は、各プランの採点は、審査員の得点と(コンテストに聴衆として参加した)市民の得点を合算することです。しかも、両得点を公開するというオープンさです。第2回のコンテストでは、市民の得点によって上位入賞者の順位が変わりました。第3回(2019年2月)では、流通経済大学と連携して、学生部門も開催しました。このような工夫が実り、毎回100人近い人がコンテストに参加しています。都市の規模から考えると、各段に多い集客数でしょう。


(2)チャレンジショップの開設

 スモールビジネスでは、飲食や物販・サービスが多くなります。これらは実践経験が重要となります。しかし、いきなり店舗を持つことはハードルが高すぎます。そこで期間貸し店舗を設けました。それがチャレンジショップです。場所は駅前ビルの1階。一等地です。そこに軽飲食ブース3か所、物販・サービスブースを5か所開設しました。1週間から最長1年間借りることができます。出店のための初期費用はゼロ、支払うのは歩合制(売上の10%+諸経費)のみです。チャレンジショップとは、起業者が実践を通じて学び、失敗したとしてもそこから学べる機会を提供しています。

 

図表1.ビジネスプランコンテストとチャレンジショップの様子

 

  筆者撮影



  取手市・龍ヶ崎市の取組みは、ほかにも、他府県のレンタルオフィスが使えるサービスなど、進化を続けています。
 次回は、ご紹介した取手市・龍ヶ崎市の取組みを俯瞰することで、その意義を考えます。(次回に続く)
 
 今回のまとめ

  ・取手市は龍ヶ崎市と協定書を結び、広域連携を実現しました。
  ・龍ヶ崎市は独自のレンタルオフィスを開設するとともに、取手市の活動にも参加することになりました。
  ・コンテストやチャレンジショップなど、新たな活動も始まりました。

 

 次回の予告

  ・スモールビジネスの活性化 茨城県取手市・龍ヶ崎市の事例(後編)


スタートアップとのつきかいかた 記事一覧

   第1回:起業の現状はどのようになっているのか
      http://www.og-cel.jp/information/1278928_15932.html


   第2回:2つの起業タイプ
      http://www.og-cel.jp/column/1279678_15959.html


   第3回:スモールビジネスの活性化 茨城県取手市・龍ヶ崎市の事例(前編)
      http://www.og-cel.jp/column/1279684_15959.html


     

(執筆者:エネルギー・文化研究所 研究員 奥田 浩二)


本連載について

 本コラムでは、起業で地域を元気にするための鍵を考えていきます。記載内容は、執筆者が入手した情報をもとにしていますが、執筆者の意見を含んでいます。各内容は、執筆者が所属する機関・企業の公式・公的な見解を表明するものではありません