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情報誌CEL

橋本 佳也

2008年06月30日

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2008年06月30日

橋本 佳也

住まい・生活

食生活

情報誌CEL (Vol.85)

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デパートなどの地方の物産展が人気だという。のぞいてみると、地域限定のスイーツの前に人だかりがある一方で、昔から食べられている郷土食が早くに売り切れていたりする。例えば全国的に人気が高いのが、信州の「おやき」。小麦粉の生地で季節の野菜などを包んで、昔は炉端で焼き、主食の代わりに食べたそうだ(本誌の八〇号では、原楫さんが「おやき」の伝承を軸にした食育活動を報告されている)。

 郷土の食と言えば、以前、「食べつなぐ」という言葉を、GK道具学研究所の山口昌伴さんがおっしゃっていたことがある。昔は貴重だった米を一日でも長く食べつなげるために、大根や芋類と一緒に炊いたり、煮込んで餅のようにして食べ、次の収穫を待った。野菜なども、その時期に採れたものを食べ、日もちするように調理し、また乾燥させたり塩漬けにして保存した。もちろん、味噌や漬物などの加工品も家庭でつくった。特に農家では、季節ごとに手に入る食材を工夫しながら、一年を通して食べつないでいくことが大切だったという。

 現在の家庭でも、例えばその日に残った野菜などは、別の日に炒めたり味噌汁に入れたりして食べないと、やがて冷蔵庫の中でひからびてくる。食が連続してないと、余り物が多くなり、結局捨てることになる。

 昔と違い、作業をしなくなった現代の台所は、明るくてきれいだし、大きな冷蔵庫もある。また、都市部では、近くに遅くまで開いているコンビニやスーパーがあって、足りないものもすぐに買いに行ける。それはとても便利なことだが、どういうわけか、そうした食に関する大きなシステムの中で、廃棄される食料品は、現在膨大な量にのぼっているという。同時に、家族のそれぞれが、好きなものを好きな時間に食べる個(孤)食がますます増えていて、日々の食や家族の食がバラバラになる傾向はさらに強まっているようだ。日本の食は文化としての基盤を失いつつあるのではないかと感じる。