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情報誌CEL

小林 新也
前田 章雄

2022年09月01日

地域に始まる持続可能性への途 −伝統文化の再定義で明日を拓く

作成年月日

執筆者名

研究領域

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媒体(Vol.)

備考

2022年09月01日

小林 新也
前田 章雄

都市・コミュニティ
エネルギー・環境

まちづくり
地球環境
地域活性化

情報誌CEL (Vol.131)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

都市部における持続可能な消費生活を考える際に、忘れてならないのが、地域とそこでの生産=ものづくりだろう。
そんななか、存続さえ危ぶまれる伝統産業にリブランディングで新たな命を与え、さらに経済循環の起点とすべく、独自の試みを続けるのが兵庫県小野市の「シーラカンス食堂」だ。
本対談では代表であるデザイナーの小林新也氏をお迎えし、都市一極集中により後継者や資金不足に悩む地域のものづくりを、持続可能性への“挑戦の場”に変える意識・行動について、前田章雄研究員が深く、幅広い視点から問いかける。

あらゆる分野の後継者不足が地域経済の持続性を危うくする

小林  私はもともと各地の伝統産業振興の一助になりたいという思いから、大阪の大学へ進んでプロダクトデザインの勉強をしたんですね。それが在学中、島根県で古民家のリノベーションに関わって組子細工[*1]の職人さんや瓦屋さんと知り合い、瀬戸内国際芸術祭[*2]への出展にたずさわって香川県の豊島で漁師さんと交流するなか、日本中あらゆるジャンルの伝統産業が途絶えかけているのを目の当たりにし、故郷である兵庫県小野市の現状を考えざるを得なくなった。そうした経緯で「シーラカンス食堂」[*3]を起ち上げたわけです。 実際、職人仕事はどこも後継者の問題を抱え、豊島の漁師さんは私に漁船を譲るとまで言うほどでした。そこで、自分の地元にもそろばんをつくる人たちがいたことを思い出し、早速お話を伺うことにしたんです。意外だったのは、そろばんは今でも一定の数が売れており、その意味で継続は可能だったこと。それでも深刻なのは、やはり後継者不足でした。そろばんづくりというのは完全な分業制をとっているため、たとえば玉を削ったり、仕上げたりという工程のごく一部でも後継者が不足すると、全体の持続性が危うくなってしまうのです。

前田  和傘づくりなどを見てもわかるように[*4]、日本の伝統的なものづくりには完全分業で地域全体の繁栄を担うやり方がありました。

[*1]細い木片を釘を使わずに組み合わせ、緻密な幾何学的紋様を生み出す木工の伝統技法。多く日本家屋の欄間や障子に使われる。
[*2]瀬戸内海の島々(岡山県・香川県)を舞台に2010年から3年ごとに開催されている一大アートイベント。
[*3]2011年設立。ブランディングとデザイン(プロダクト・グラフィック・空間)を主軸に、伝統産業をはじめ先人のものづくりに新たな生命を吹き込む活動を行っている。
[*4]和傘づくりは、骨、柄、表面に貼る紙など、すべての部品を専門の職人が担当、最終的にこれを集めて組み立てられる。そろばんも同様に玉や枠、ひごなど、各部が分業により製造される。

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