田中 雅人
栗本 智代
山納 洋
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研究領域 |
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備考 |
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2021年03月01日 |
田中 雅人 |
住まい・生活 |
ライフスタイル |
情報誌CEL (Vol.127) |
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大阪ガスは地域共創活動の一環として、広く文化・芸術活動に関わってきた。その歩みを間近に見続けてきたエネルギー・文化研究所のダイレクター・田中雅人(写真右)、関西の街の文化や歴史を語り・音楽・映像で伝える「語りべシアター」を手掛ける栗本智代(写真中央)、かつて「扇町ミュージアムスクエア」のマネージャーを務め、現在も数々のプロジェクトのプロデュースを行う山納洋(写真左)の3人が、これまでの歩みを振り返りながら、文化・芸術に携わる意義や影響について語り合う。
大阪ガスが文化・芸術に関わる意義とは
田中 大阪ガスが行ってきた文化・芸術活動を振り返ると、その始まりは1933年に竣工した大阪ガスビルディング、通称「ガスビル」にみられます。館内に設けられた600人収容の吹き抜け講演場では、エンタツ・アチャコの漫才や西洋映画の上映など多彩な催しが開かれ、「文化の殿堂」として市民に親しまれました。なぜガス会社が講演場を持つ必要があったのかと考えると、そもそも都市ガスは新しい文化の提案であり、薪やカマドの文化から、利便性の高い都市ガスによりライフスタイルを変えるという提案に付随して、大阪ガスは新たな文化・芸術を紹介する役割を担っていたと思われます。
栗本 都市ガスが拓くモダンでハイカラな生活文化をアピールしていこうというなかで、その土壌である関西の都市文化や地域に根付いてきた芸術や芸能も含めて紹介・提案する企業風土が創業時からあったと思います。
田中 その社風は今も引き継がれ、社員はみな「私たちは単なるエネルギー屋ではない」という意識を持っていると思います。1986年4月には、創業80周年を機にわがエネルギー・文化研究所(通称CEL)が設立されましたが、社会が目まぐるしく変化するバブル期のなか、長期的視点と広い視野に立って社会と事業の将来像を描くことが求められたのでしょう。その活動のなかで1987年に情報誌『CEL』も生まれています。
今回は文化・芸術に関わる事業に当事者として携わってきた二人に話を伺いながら、その活動の意義を考えていきたいと思います。
ムーブメントをつくるOMSという文化装置
田中 CELと同時期に設立されたのが、「扇町ミュージアムスクエア」(以下、OMS)です。
小劇場を核とするサブカルチャーの中心地として若者の心を捉えましたが、山納さんはOMSのマネージャーを務めておられましたね。