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−大阪・上町台地界隈での実践から

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情報誌CEL

弘本 由香里

2018年07月01日

過去・現在・未来を貫いて、知の共同化の回路を地域・社会に組み込む
−大阪・上町台地界隈での実践から

作成年月日

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媒体(Vol.)

備考

2018年07月01日

弘本 由香里

都市・コミュニティ

コミュニティ・デザイン
地域活性化
まちづくり

情報誌CEL (Vol.119)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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社会の枠組みが変化し、さまざまな問題が集積するなか、持続可能な未来へとつなぐにはどうすればよいか。
過去からの歴史が埋め込まれ、社会をつくる基盤である地域に着目し、問題に応えうる学びのあり方がどのようなものか、大阪・上町台地でのトライアル“U-CoRoプロジェクト”の実践をもとに探る。

はじめに
――地域から社会の枠組みの変化に向き合う

日々の暮らしをとりまく社会の枠組みが、劇的に変化している。個人も組織も地域も、その渦中で、ある者は進む方向を見失い、ある者は立ち止まって思案し、ある者は変化に向き合い新たな枠組みづくりを模索している。そこで、未来を左右する最も重要なファクターは何かといえば、地域をつくりなおす土壌を耕たがやす、地域に根ざした横断的な学びの仕組みがあるかどうかである。
かつて高度経済成長を実現した時代は、直線的で均質な発展を是とし、学びの形式も上から下へ、一方向の知の授受だった。しかし、今求められているのは、内と外、自己と他者が、相互に影響し合いながら、再帰的な軌跡をたどって成長していく、循環型の学びのモデルだ。
学術研究の分野はもちろんのこと、行政やビジネスをはじめ実践分野でも、新たな学びの方法論が求められている。たとえば「質的研究」というアプローチが、改めて関心を集めている。その理由について、『新版 質的研究入門――〈人間の科学〉のための方法論』[*1]では次のように説明されている。
私たちが生きる世界の多元化が進んでいる。その中で既存の考え方や理論がますます通用しなくなっている。複雑さを増す社会のさまざまな関係性をときほぐす上で、質的研究に特別の意義が出てくるのである。(中略)
ポストモダニズムの唱導者たちは、大きなナラティブ(物語/語り)と理論の時代はもはや終わったと宣言した。その代わりに、さまざまな限定つきのナラティブこそ必要だというわけである。なぜなら人間に関わる事象は、それが起こる地域、時間、状況といった特殊な影響を強く受けるからである。
グローバル化や情報化や個人化等の流れそのものを止めることはできない。しかし、そこから生じるさまざまなリスクは克服していかなければならない。新たな問題解決の現場では、一方向の理論は通用しない。むしろ、個別でローカルな時間・空間の文脈や出来事や分野や立場を超えた人々の関係性のなかにこそ、持続可能な未来を切り拓いていくための手がかりがある。答えはひとつではなく、変化する状況に応じて、柔軟に修正をかけていくことができる学びのあり方こそ注目に値する。
こうした見取り図を持ち、なぜ今、地域というフレームが重視されているのか、なぜそこで、学びという営みが重視されるのか、互いに問いなおすまなざしを得ることによって、足元に広がる地域は、新たな問題解決と価値創造の沃野へと変わっていくはずだ。

[*1]『新版 質的研究入門――〈人間の科学〉のための方法論』(ウヴェ・フリック著、小田博志監訳、2011年、春秋社)13〜14頁。

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