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情報誌CEL

大西 拓一郎

2018年03月01日

ことばと耕 方言変化の自律と介入−革新ダラと保守ズラ

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2018年03月01日

大西 拓一郎

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情報誌CEL (Vol.118)

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ことばから「ルネッセ」を考察してきたシリーズの最終章。
方言研究の新たな地平を切り開き、ことばの「耕」を行ってきた著者がその研究の中心をなす「ダラ」と「ズラ」の方言分布を例に挙げ自然な変化と、それを阻止しようとする方言における「耕」的流れを解説。
さらにその先の革新と保守という経済との関係性にも言及する。

■リフレインに並んでるズラ

「ちゃっきり節」という民謡がある。民謡といっても、古くから、受け継がれてきた曲ではない。静岡電鉄が、宣伝歌として、北原白秋に作詞を依頼した新民謡である。
『白秋全集』30「歌謡集2」収載の「ちゃっきり節」(9〜14頁)は17番まであり、各番の末尾は「ちゃっきりちゃっきり、ちゃっきりよ、きやアるが啼くんて雨づらよ。」が囃子詞として、繰り返される。
全集は『北原白秋地方民謡集』(1931年、博文館)を出典とする。解説にあたる「後記」によると、この囃子詞の後半は発表媒体により「きゃアるが啼くから雨づらよ。」や「きゃアるが啼くんで雨づらよ。」のような異同があるとされる。いずれにおいても末尾の「雨づらよ。」は変わらない。
同全集付録の月報30には浅野健二氏による「『ちゃっきり節』考」が掲載されている。それによると、戦後、ビクター専属の歌手、市丸のレコードにより全国に広く普及し、昭和32(1957)年の静岡県主催の国体では踊りも披露され、静岡県を代表する民謡になったらしい。
50代半ばの私もどこかで耳にしたことがある(ただし、関西で生育したため、似て非なる「ちゃっきり娘」と混線している可能性は否定できない)。年長の方々には、なじまれているのではないだろうか。
とりわけ耳に残るのは、やはりこの囃子詞のフレーズであろう。記したとおり、いくつかのバージョンがあるが、「雨ズラ」は変わらない。この「ちゃっきり節」の定着と県民に親しまれることを通して、ズラは静岡県を代表することばになったことは想像に難くない。
30年くらい前になるが、大井川上流に方言調査に行った。その帰途、静岡駅で売られている土産物に「そうずらまんじゅう」を見つけた。買ったことは覚えているものの、味の記憶はないところからすると、普通においしかったと想像する。味はさておき、土産物の命名素材になるくらい、ズラは地域のアイデンティティをともなう代表的方言としての地位を獲得するに至ったということだ。
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