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情報誌CEL

池永 寛明

2017年10月31日

CELからのメッセージ 北前船はなにをはこんだのか?

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媒体(Vol.)

備考

2017年10月31日

池永 寛明

都市・コミュニティ

コミュニティ・デザイン
地域活性化
まちづくり

情報誌CEL (Vol.117)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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関ヶ原古戦場に立つと、意外に狭い空間に驚く。15万人が東西に対峙した関ヶ原で古代に壬申の乱があった。都を守る関所があり、東国に通じる街道、日本海に通じる街道が縦横に交わる。この関ヶ原を含む琵琶湖東岸は、丸餅と角餅など食の東西境界。道が文化をはこんだ。
かつて道は軍事防衛の観点から細かった。人は移動できるが、物をはこぶには適さなかった。川や堀にて地域の物が河口の湊に集められ、積み替えられ、次の場所にはこばれた。川が文化もはこんだ。
山形県の酒田を歩くと、京人形やしつらい、人々の会話に上方を感じる瞬間がある。最上川水域の物を集め、河口で北前船に積み替え全国にはこび、全国から船が戻り物がおろされ、最上川流域に流通し、物とともに情報が川筋文化と混じりあった。海が文化をはこんだ。
この北前船は蝦夷地から大坂まで、西廻りに日本海、瀬戸内海の各湊に寄航し、各地の情報を収集・掌握し、商品を売り買いしていく。北前船は各地域の物を湊にはこび、各地域の情報を受・発信して各地の産業・経済・文化を育てた。
北前船をはじめとする廻船の出港地であり終着地であった「天下の台所」と呼ばれた大坂の船場に、国内や海外の物と情報が集まり、編集し価値をつけ、淀川や堀を通じて畿内に、街道を通じて全国にひろげた。人が集まるところに情報が集まり、溜まり、発酵させ、求める人に伝えられた。価値ある情報には速度を付ける工夫がおこなわれた。たとえば堂島の米相場情報は旗振り通信によって1時間以内で江戸に届いていたそうだ。
また大坂には廻船や街道を通じて国内の食材が米、青物、魚市場に集められた。この新鮮で豊富な食材に、蝦夷の真昆布出汁を掛けあわせ調理された料理をとりながら商談がおこなわれ、まとまれば手打ちとなる。その商いの最高の瞬間に大坂料理の場が選ばれ、大坂商人たちのおもてなし精神が接待の場に注がれ、大坂料理を高度に育てあげた。
このように水路・陸路を通じて物と情報を集め、学びあい、交流しあい、掛けあわせ、混じりあわせ、変換させ、価値ある物、ビジネス、産業が次々と生みだされた。それらはひとりの天才が考えたのではなく、同業・同志が集まり、「それ、いいな」「これ、いけるのとちがう?」といったワイガヤからイノベーションが生みだされた。現代も同じはずだ。
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