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情報誌CEL

棚橋 俊夫

2014年11月01日

伝統的な食文化を継承するために

作成年月日

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研究領域

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媒体(Vol.)

備考

2014年11月01日

棚橋 俊夫

住まい・生活

食生活
ライフスタイル
その他

情報誌CEL (Vol.108)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」=日本の伝統的食文化は、衰退の一途を辿っているように感じられる。家庭、地域の食文化を伝承する方法はあるだろうか?精進料理を通して伝統的な食・料理を実践する棚橋俊夫さんにお話をうかがった。

滋賀県大津市坂本の町を、駅から比叡山麓へと向かう雑木林の坂道を登り、曲り道を抜けると、葭葺きの家が目に飛び込んでくる。
森を借景にした田舎家の手前には手入れの行き届いた田畑が広がり、振り返ると琵琶湖畔を眼下に見下ろす、一幅の絵のような美しい佇まい ―― ここは、「麦の家」と呼ばれる、主宰者の山崎隆さんとそのご家族が、衣食住の自給自足を実践する場である。

棚橋俊夫さんは、初めて「麦の家」を訪れたとき、「これがすべてなんだ」と、答えが出た気がしたという。27歳で精進料理を学ぶべく大津市内の月心寺に入り、料理修行を積んでいた折の出会い。未開の地であった当地に入植し「麦の家」を結成した先代松井浄蓮氏が存命の頃で、以来、2代目を継いだ山崎氏との交流は25年余になる。
「ここは農業を土台に衣食住すべてを自給自足していますが、なかでも『衣』にあたる織物作りは、蚕を育てるところから機織りまで一貫して手がけ、日枝紬という洗練された作品を作っている。『ハレ』にあたる『衣』までを担っていることがすばらしい。一見何もないように見えて、実はここは生きるためのすべてがある理想郷です」
「農」を下支えにした衣食住があるつつましい暮らし、あたたかく穏やかながら、知らず背筋がピンと伸びるような凜とした空気に包まれた家 ―― かつてこの国に確かにあって、今は失われてしまった宝が、ここには当たり前のようにある。「衰退する日本の伝統的食文化についてのお話をうかがいたい」との依頼に、棚橋さんが取材の場として「麦の家」を選んだ理由が、語らずとも眼前に体現されている気がした。

精進料理人に聞く 日本の食の危機をどう救うか

月心寺で3年間の料理修行の後、東京・表参道に精進料理の店「月心居」を構えてから現在まで、ひたすら「精進料理のすばらしさを伝え、広めることが我が使命」という信念のもと歩んできました。精進料理は野菜を中心にした、天からの恵みをいただく料理、世界に誇る日本の根本料理です。
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