安達 純
2002年07月10日作成年月日 |
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2002年07月10日 |
安達 純 |
住まい・生活 |
その他 |
新聞・雑誌・書籍 |
日本ガス協会誌2002年7月号/シリーズ「お客さまニーズを掴む」の第1回目 |
これから半年間、大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所が‘お客さまニーズを掴む’シリーズを担当させていただくことになった。
はじめに簡単に、当研究所の自己紹介をしたい。エネルギー・文化研究所(Research Institute for Culture、Energy & Life=CELセル)は、いまから17年前に大阪ガスの創立80周年記念事業の一つとして設立された。企業内研究所ではあるが、少し長期的な視点に立って、広い視野でこれからの社会の動きを探り、将来に向けて企業と社会の、より良い関係のあり方を考えてみようということを目的とした研究所である。そこで、企業と社会の二つの視点が重なり合うところにCELの立脚点があると考えている。
そのため本シリーズでも、「お客さまニーズを掴む」というよりは、もう少し広く「生活者のニーズを掴む」、あるいは「生活者の関心はどんな方向にあるか」といったようなニュアンスのレポートになる。必ずしも具体的な提言に結びつかない点もあると思うが、ご容赦いただきたい。
(「生活者」のニーズ)
■顧客の創造
まず、顧客のニーズだけではなく、なぜ生活者のニーズを掴むことが大切かを考えることから始めたい。
経営学の神さまとも言われるピーター・ドラッカーは、マーケティングを重要視した。ドラッカーによれば、マーケティングこそ、あらゆる組識、特に企業活動の中心であり、その役割は、顧客を理解し、製品やサービスを顧客ばかりでなくノンカスタマー(まだ顧客になっていない人たち)に合せ、おのずから売れるようにすることであると言う。ところがふつうは、自社の製品、自社の市場という企業の視点から出発してしまう。これに対して真のマーケティングは顧客から、すなわち人間、現実、欲求、価値から出発する。「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を問うことが大切になる。ドラッカーは、それを「顧客の創造」と呼んでいる。