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情報誌CEL

結城 登美雄

2005年06月30日

食を間にはさんだ、新しい関係づくり

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備考

2005年06月30日

結城 登美雄

都市・コミュニティ

コミュニティ・デザイン

情報誌CEL (Vol.73)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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 「国家にとって一番大切なことは何でしょうか?」と弟子たちに問われてソクラテスは、「あらゆる必要の中で、最初の、そして最大のものは、生命と生存のための食料の供給である」とこたえた(プラトン『国家』)。

 生きることは、まず食べることからはじまる。だが戦後日本は、この第一義のテーマを軽んじてしまった。かわりに鉄と石油による産業国家をつくった。人はパンのみにて生きるに非ず、とばかりに、それを豊かさへの道と信じ邁進した。たしかに豊かさは達成されたかに見えるが、いつも足元がゆらいでいた。

 2005年現在、懸命な努力にもかかわらず、わが国の食料自給率は40%のままである。生きる基本たる食料資源を他国や外部にゆだね続けたツケが、食の安全性をはじめとする様々な事件、事象となって噴出し、国民生活をおびやかしている。もはやこの国では、第一義のテーマを国家にまかせられないのではないか。食と農の現状に危機感を抱いた人々を中心に、各地にそんな動きがおきている。「地産地消」もまた、そのひとつのあらわれである。ここで育てられた食べものを、遠くへ運ばず、いま、ここに暮らす人々とともに食べる、という「地産地消」の呼びかけが静かに広がっている。広域流通システムが強いる、厳しい品質や規格に苦しめられた農家が、その手を離れて、自らの販売拠点を構築した「農産物直売所」は、この10年ほどで全国に1万箇所にも増えた。その担い手の中心は、日本の農政が切り捨てた高齢者と女性たち。形や大きさがちがっても、新鮮でおいしいとかけつけてくれる近隣の人々と出会い、再び農への意欲をとりもどして、その表情はいずこも明るい。そして、これらの営みは推計で2400億円にもなるという。さらに、農産物直売所を拠点にした活動は、例えば岩手県東和町の学校給食のように、その食材の75%を地場のものでまかなうまでになっている。いわば、かつてのあたり前をとり戻す運動が、地域に少しずつ広がりと定着をみせている。