一穀 あすか
2008年06月30日作成年月日 |
執筆者名 |
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2008年06月30日 |
一穀 あすか |
住まい・生活 |
食生活 |
情報誌CEL (Vol.85) |
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食農体験とともに守る明日香村の歴史的な景観
「やったあ」、柔らかな日差しがそそぐ初夏の竹林の中で歓声が上がる。大きな筍が土の中から取り出された。子どもたちも、自分が手伝って掘り出しただけに満面の笑顔。ここは奈良県明日香村にある竹林。元々農地だったところが長年放置され、竹に被われてしまった場所だ。それを整備し、たけのこ園にしたのは、農事組合法人「一穀あすか」の人たち。
同事務局長の森本吉秀さんはこう言う。
「日本のふるさととも呼ばれる明日香村で、私たちは生まれ育ち、今農業をしています。ところが、農家の高齢化や担い手不足によって、遊休農地や耕作放棄地など荒廃地が拡大しているのが現状なんです」。
二八年前に、地域の開発を制限する「明日香法」が制定され、以来この村は、貴重な歴史的景観の保存をその使命として担ってきた。そのために、農業立村がうたわれたが、「その当時から比べると、すでに農地は半分ほどになっている」という。
こうした現状を打開するため、村内の農家を中心に十一人が集まり、平成一八年四月に遊休農地の利活用や新規就農者の支援を活動の柱とした農事組合法人「一穀あすか」が誕生した。このままでは、明日香村の農業とそれを基盤とした景観の保持の両方がだめになってしまう。やむにやまれない思いからの出発だったという。