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情報誌CEL

安成 哲三

2009年01月08日

アジアモンスーンの変化がもたらす日本の水環境について

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備考

2009年01月08日

安成 哲三

エネルギー・環境

地球環境

情報誌CEL (Vol.87)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
全文をご覧いただくにはPDFをダウンロードしてください。

地球温暖化に伴う水問題の方が重要

 近年になって、さまざまな観測データから北半球の高緯度を中心に温暖化の傾向が分かってきています。特に20世紀に入ってからのデータを見ると、それは顕著ですし、さらに、ここ20年ほどの全般的な気温の上昇傾向は、これまで残されてきた観測データと比較しても、自然変動とは考えにくいほど大きなものです。また、最新の気候モデルによって再現した20世紀の気候変化の傾向を見ても、実際の観測データと似た傾向を示していることもあり、二酸化炭素などの温室効果ガスが原因かどうかは、はっきりと断定できないものの「地球温暖化」が進んでいるという事実は確かです。

 ちなみに「二酸化炭素などの温室効果ガスが地球温暖化の原因だ」と断定できないのは、気象学者の立場から言えば、100年などは地球全体の歴史から見ると、まだほんのわずかな期間でしかなく、しかも解析に必要である降水量や雲量を知るための地域における“正確”な降雨や雲の状態などのデータを収集するシステムが整備されているのは、地球上でもほんのわずかの地域だけであることから、科学的な裏付けができないため、単純に断定するわけにはいかないからです。

 ただし、「最近の地球温暖化は、あくまでも気候の自然変動の範囲である」という反「地球温暖化」議論もいろいろと言われていますが、それに賛同しているわけでは決してありません。むしろ私としては、こうした“不毛な論争”をするよりも、現在の地球には、もっと大切な問題である「水の問題」があることを知って欲しいと考えています。

 確かに、近年の急激な温室効果ガスの増加が、気候システムに大きな影響を与え、予測不可能な大変調や急激な変化を引き起こす可能性は否定できません。しかし、それ以上に地球温暖化問題において、賛成派も懐疑派も、もっと考えなくてはいけないことがあります。むしろ、温室効果ガスの増加によって、降水量を含む地球の水循環がどう変わるのか、変わりつつあるのか、という問題の方が重要だということです。何故なら水蒸気は、二酸化炭素などと比較にならないほどの温室効果ガスであり、もし、二酸化炭素が増加し、それが原因で大気中の水蒸気が増えることになれば、地球の環境に与える影響は図りしれません。しかし現段階では、それが、温暖化をさらに加速させるのか、それとも太陽熱を多く反射させる効果がある雲の量を増やし、結果として温暖化を抑制することになるのか、ほとんど分かっていません。

 したがって、こうした事実を判断するためにも、地球規模での正確なデータを集める必要があります。少なくともアジアモンスーン地域の実情を知らなくてはなりません。そこで日本の役割としては、アジアの気象観測の先進国として、気象衛星をはじめとして、アジア全域における観測体制の整備と強化に貢献することが、大きな課題だと考えています。

 

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