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2022年09月01日 by 金澤 成子

今どきの出産・育児事情【マタニティ期】




こんにちは。エネルギー・文化研究所長の金澤成子です。


男女雇用機会均等法が施行され、女性の社会進出で「寿退社」も死語、「晩婚」「晩産」も普通に使われるようになりました。ますます深刻化する少子化問題を受け、働きながら出産・育児をする女性たちの本音を探り、新たな課題を発見するため、昨年夏に、「新米ママラボ」を立ち上げました(※1)。マタニティ期〜出産・育休期〜復職に至る期間での調査(※2)をもとに、その課題と未来について、考察していきます。今回は、情報誌「CEL」131号の「未来ブラリ」(9月1日発行)より抜粋し、マタニティ期を中心に、ご報告させて頂きます。   


※1女の欲望ラボ(山本貴代代表)と共同発足

※2アンケート調査:新米ママラボ会員22人(30代中心)、ベテランママ41人(マダムラボ会員50代中心)、2021年12月〜2022年5月実施

 


1.妊娠したら、いつ報告する?


育児休業の制度化、マタニティマークの登場、イクメンの台頭、ハラスメント教育、不妊治療の保険適用、男性育休取得の義務化など、この十数年で、社会も企業も、ダイバーシティ推進を合言葉に、急ピッチで制度や環境を整えてきました。育児休業制度がちょうどスタートした頃に、出産した私の頃と比べると、非常に恵まれた環境で、本当にうらやましいと思います。私と同世代のベテランママたちに実施したアンケート結果でも、「職場に前例がなく相談できる相手がいなかった」「自分たちが切り開いていく立場なので、泣き言は言えなかった」など、制度や環境がないことにも、我慢のマタニティ期だったことがうかがえます。


しかし、「新米ママラボ」のママたちのアンケート結果から、驚くべき意外な実情が判明しました!「妊娠」や「妊娠による体調不良」をなかなか言い出せないなど、実は、ベテランママたち以上に、大きなストレスを抱えていたのです。「体調が一番辛い安定期前、誰にも配慮してもらえず途方に暮れた」「つわりの時も人手が足りないので、言い出せず、無理して働いていた」「営業職だったため戦力外と感じ、自分の存在価値を見出せなくなり辛かった」「バリバリ働いていた中、妊娠を報告したらあまりいい反応が返ってこなくてとても悲しい気持ちになった」など。聞いているだけでこちらも気持ちが辛くなるくらい、妊娠初期の不安な声でした。 

 

 



2.マタニティ期こそ必要とされる職場のケア


そこで、ベテランママたちに、「妊娠初期のストレス軽減や安心できる環境」について、意見を聞いてみました。「辛いときにちょっと横になれる妊婦専用のベッドがあるといい」「上司と普段から話しやすくなる環境として月1面談の実施」「人事と職場と本人をつなぐ相談窓口の設置」「妊婦のための心理カウンセラーの設置」「ハラスメント教育の徹底」など、当時苦労した経験ならではの意見が多くありました。必要時の選択肢として利用できる「マタニティ休暇」など、妊娠初期にも、本人や職場の間でオープンに、「妊娠」や「体調不良」を言い出しやすい「環境づくり」の工夫が必要ではないでしょうか。    





3.先輩ママも応援、「育自」のための環境づくり


 ベテランママたちは、出産・育児は、「仕事と育児の両立は、ボクシングのように、ラウンド開始のゴングがいつも鳴っていた」「ずっと走ってきた」「働く覚悟を得た機会だった」「ジャンヌ・ダルク」「人生で一番輝いていた時期」「1ミリの後悔もない」など、ポジティブな意見が多かったのにも共感、納得です。新米ママたちには、「働くことに罪悪感を持たず思いっきり活躍してほしい」「育児も仕事も“育自”と思って、やりたいことを選択し続けてほしい」「仕事か家庭かの二者択一ではなく、どちらも貪欲にチャレンジしてほしい」「育児でキャパシティも広がる」「頑張りすぎず、手を抜いて、自身のストレスをためないことが家族の幸せにもつながる」など、温かいエールをたくさん戴きました。


 ストレスフリーで前向きなマタニティ期を過ごすためには、制度の有無によらず、自身がオープンに話せる職場環境や仲間を作っていくことも大切です。周囲の理解と協力を得ることは、出産・育児を経験する女性に限らず、社会人として、自身が働きやすい環境をつくる「すべ」とも言えるのではないでしょうか。


 


4.さいごに


 ベテランママたちのようなバブル期を経験した世代は、富や地位を得るためには努力や能力が必要だという「足し算」思考で、ひたすら、がむしゃらに働いてきました。一方、新米ママたちのようなミレニアル世代やZ世代は、成功がすべてだとは考えない、むしろ「勝ち組/負け組」の概念がなく、幸福な人生を送るのに不要だと思われる障害物を取り除く「引き算」思考と言われていて、前世代とは価値観や考え方も違います。ただし、働く女性の出産・育児期は、いつの時代も、これまで接点のあった社会から隔絶され、孤独感や孤立感を感じやすくなるため、より近くで安心できる「つながり」が必要とされるのではないかと思います。

なお、今回の報告は、情報誌「CEL」131号の「未来ブラリ」でもご覧いただけます。過去の「未来ブラリ」も様々なテーマでレポートしていますので、ぜひご覧ください。

 

【CEL131号のURL】

未来ブラリ 6 働くママの未来を考える。新米ママラボ発足!!



【CEL130号のURL】

未来ブラリ 第5回 人生100年時代、どう生きる?

【CEL129号のURL】

未来ブラリ 4回 スマホとの蜜月関係を探る

【CEL128号のURL】

未来ブラリ 3回 コロナ禍、住まいは空母化する?

【CEL127号のURL】

未来ブラリ 2回 食と人間関係 コロナ禍の新ルール

【CEL126号のURL】

未来ブラリ 1回 変わるオシャレ欲


 


 

 



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