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2021年09月16日 by 池永 寛明

【交流篇】あなたはなにに「便乗」しているの?(1)



あなたが誰もが知っている、とても有名な大手企業に勤めているとします。あなたが初めてのお客さまに提案することになりました。そのとき、その有名な会社の名刺を使ってはいけない、その会社の社員だということを一切口にしてはいけないとされたとき、どれだけのお客さまがあなたに会ってくれるだろうか?仮に会ってもらえたとして、どれだけのお客さまがあなたを信用してくれるのだろうか ―― 限りなくゼロに近いかもしれない。それくらい、「会社」に便乗している人が多いのかをあらわしている。

 

 

1.コロナ禍がつづくなか、起こっていること

 

「就職人気ランキング」に入っている会社の社員だというだけで、「立派だと思われる」と信じることが、便乗である。しかし相手がその会社名を知らなくて話をするなかで、「すごい人ですね、魅力的な人ですね」と言ってもらえる人は、どれだけいるだろうか。

「何かに帰属する」ことが絶対的価値として通用しなくなる時代が増えつつある。そのことをいちばん恐れるのは、「属性こそが自分のコンセプト」と思い込んでいる人たち、「人気がある=有名である」という属性に便乗して自分を造形している人たちである。

それはこういうことにも出てくる。
部下が情報を上司に報告したとき、上司はその情報が本当なのか嘘なのかを確かめようとする。すごい内容の情報だ、誰にもあまり知られていない早期情報だ、良い情報であると思えるが、上司はこう訊く。

「それ、どこの誰の情報?」

 

この問いこそ、便乗型の人間の発想。どこの誰が言っているから有難い、どこの誰が言っているから有難くないのか。誰の前の「どこの」で判断する。便乗型は「帰属」「属性」にこだわる。

それがコロナ禍で大きく変わりつつある。
多くの事柄がコロナ禍で変わろうとしているが、その変化はコロナ禍の1年半、毎日のように報道されるテレビとYouTubeやTwitterなどSNSで起こっている。
新型コロナウィルス感染対策のなかで、いろいろな専門家が連日登場する。コロナ禍の前に、そのコロナ対策の専門家という先生たちをどれだけの人が知っていただろうか?その先生の名前・先生が帰属する大学名や病院名をどれだけ知っていただろうか?東京や大阪ではない場所から、オンラインで毎日登場しつづける先生たちの話を毎日見聞きするが、どうして有名な大学の先生は出てこないのだろうかと、ふと思う。


なにかが変わろうとしている。

 

それはこうかもしれない。コロナ禍という非常時に先が見えない局面、それを突破する情報・知見・洞察が欲しい。そうなると、有名な大学・病院の重鎮という権威よりも、確かな価値ある情報が欲しい。どこの誰の情報よりも、得られる情報コンテンツが大切になってくる。

その変化は、コロナ禍前から進みつつあった。コロナ禍をトリガーに浮き彫りとなり、コロナ禍がつづけばつづくほど、変化は強固になる。そしてそれがコロナ禍リセットとして、がらっと社会を変えていく。こうして

これまでの常識・権威が崩壊しようとしている。

 

 

2.これから先どうなるという未来観のちがい

 

リモート・オンラインを使えば、情報は無限となり、情報はいつでもどこでもどこからでも手に入る。情報はどこの誰の情報かというよりも、コンテンツの中味が大切になっていく。そうすると、収集された情報コンテンツにどう向き合い、どう編集・活用・発展できるかに、「意味」が変わっていく。そしてそれらが進めば進むほど、会社や大学の「これまでの姿」が崩れていく。そしてこれら「属性」に便乗してきた人たちは、どうしたらいいのか分からなくなる。

だからテレワークやオンラインが進むのを嫌がる人がいる。
オンライン講義が普及しオンラインでの学びのメリットが明確になったら、大学に通学するってなんだろう。テレワークが進みオンラインが普通になれば、会社に通勤するってなんだろう。学校って、会社ってどういう意味なんだろうとなる。これまでの大学や会社のあり方・形ががらっと変わる。大学・会社に属することの意味は大きく変わる。

その変化は、コロナ禍前から進んでいた。
これから先、どうなるのか。これまでとはちがう、不確実だとはみんな思っていた。とりわけ若者はそういう見通しを敏感に感じている。一方年輩者はそうだとは思うが、そうとは思いたくない、この会社で頑張れば、必ずゴールにたどりつける。だから会社に便乗する、だからその「大きな」会社に忠誠をつくす、「会社のしきたり」を守ろうとしてきた。

それが、会社や組織でよく使われる「うちの上の人・偉い人」につながる。たとえその上の人がその任になくとも、その人をたてた。我慢・辛抱して上を守らないと、自分は上に行けない。上に行ったときに部下にサポートしてもらえなくなる。だから自分たちが上を有り難がらないと、大きな会社・老舗・団体の組織・体制は保てないと、信じ頑張ってきた。その枠組みが崩れつつある。そして便乗組にとって、信じられないことが始まった。

 

新入社員が入社後3年で、半分近く辞めていく

 

多くの業界で、そのようなことが起こりだした。コロナ禍前にもそういう動きはあったが、コロナ禍で一気にそれが加速している。

そうなると、会社にずっと便乗してきた人はビビる。難関と言われる人気の会社に

 

「折角入ったのに、どうして辞めるんや。」

 

と、辞めていく若者にいうが、そう説得する便乗組の本音はこう。

 

 

しかし若者は便乗組に、こう思う。

 

 

これを、たんに若者と年輩者の価値観が違うからと、ステレオタイプに捉えてはいけない。それぞれが見ている未来の風景・未来観がちがうのだ。会社・組織観がちがう。
ここから、「便乗する」という観点が、大きくクローズアップされていくことになる。

 

3.「高齢現役」に便乗してきた社会

 

コロナ禍を契機とする大学生のオンラインによる学び化への進化に伴って、これから、「大学で選ぶ時代から先生で選ぶ時代」となっていく。オンライン学び時代になって、飛躍的に大学生のレベルが格段にあがりつつある。

それはオンラインになったから、大学生のレベルアップしたというのは正確ではない。オンラインという方法論だけでなく、むしろ先生の教育コンテンツがオンライン化によって充実したことと、大学生が優れた先生のコンテンツに自由自在にたどりつけるようになったことから、大学生のレベルがあがったといえる。

とはいうものの、いくら「いい先生で選ぶ」といっても、いきなり「いい先生」は選べないから、まずは入り口として「いい学校」を選んで入って、「いい先生」に出会う。しかし「いい大学」には「いい先生」がいるという建てつけだったが、それがコロナ禍=オンライン時代となってあやしくなろうとしている。その「いい大学」に、30年も40年も前のパソコン時代のような話を講義をしたりする高齢先生が現役で居座っていたりする。

テレビでは、毎日のように政治家が登場する。その中心にいるのが驚くような「高齢現役」政治家。その高齢現役政治家が派閥の長で、みんな、その高齢現役がトップの派閥に便乗する。
政治の世界だけではない。日本社会のいろいろな所に、“高齢現役”がいる。“高齢現役”は高齢という年齢だけでだめというのではない。若者・中堅が持たない実力・知見・見識があり、なおかつ現在を生きているのなら、なにも問題はない。むしろ頑張って欲しい。しかしDXの意味も理解できず、パソコン・タブレットはおろかスマホの使い方もわからず、まだFAXを中心に使っている人だとしたら、その人に未来は正しく見えるのだろうか。しかしそんな高齢現役が組織を牛耳ることができるのは、なぜか。

「高齢現役」に便乗している人が日本にはどっさりいるから。

 

なぜ便乗しようとするのかは、そのほうが安全・安心だと思うから。だから上につくす。便乗するが、頑張った。そうすればいつかゴールにたどりつける。だから無理難題も耐えて、長い月日、我慢してきた。

しかし便乗するが、頑張らない人が出てきた。便乗だけしようとする人が出てきた。「フリーライド」である。ただ乗りしている人が増えてきた。電車に乗るけど、ただ乗り。電車に乗ったら、料金を払わないといけない。それは当たり前。しかし「便乗」するが対価を払わない人が、日本に多くなった。それはあかん。

「便乗するなら、対価を払え」

 

この「便乗」という言葉に、「折角」と並ぶ現代日本社会の課題が内蔵されているのではないか。「便乗」を切り口に、日本社会の現在とこれからを考えていく。

エネルギー・文化研究所 顧問 池永 寛明

〔note日経COMEMO 9月15日掲載分〕


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