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2012年06月01日 by 鈴木 隆

驚くべき地図の効用

 各地で山開きが行われています。夏山登山のシーズン到来です。夏山に限らず、安全に登山するには、地図の携行・確認が欠かせません。地図のおかげで九死に一生を得た、驚くべき実話があります。カール・E・ワイクという社会心理学者の本(注)で紹介されています。

 

 ハンガリー軍がスイスのアルプス山中で軍事演習をしていたときのことです。偵察隊が本隊を離れてすぐに雪が降り始めました。やがて一面の銀世界となり、道を見失ってしまいます。降り続く雪の中を2日間さまよい続け体力を消耗、ついには死を覚悟します。

 進退窮まったかに思えたところ、ある隊員が偶然ポケットから地図を見つけます。この地図を頼りに行軍を再開、3日目にして無事本隊と合流することができました。偵察隊の上官が帰還を喜んだのも束の間、その地図を見て凍りつきました。なんと、それはアルプスではなくピレネーの地図だったのです。

 

 要するに、違う山の地図のおかげで無事生還できたわけです。この危機的状況下での地図の効用は何だったのでしょうか。実際は別の山の地図だったのですが、信じるに足る道筋を明示し、確信をもった行動を引き出し継続させたことでしょう。それにより、一種の自己成就的予言(実際とは異なる状況の思い込みが新しい行動を呼び起こし、実現してしまうこと)として、生還が現実のものとなりました。

 

 こうした地図の効用は、登山の際の地形図に限りません。社会や組織の未来を提示する地図(ロードマップ)でも同様でしょう。不透明な状況であっても、信じるに足る道筋を明示し、自信をもって行動を継続すること。雪のアルプス山中のような時代を生き抜く術ではないでしょうか。

 

 

(注)『センスメーキング・イン・オーガニゼーションズ』2001年、文眞堂

 

 

 

 

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