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炎と食

山下 満智子

2016年02月01日

炎と食II 第2章 炎と食の諸相

作成年月日

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媒体(Vol.)

備考

2016年02月01日

山下 満智子

住まい・生活

食生活

炎と食

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「火」は食の幅を広げ、コミュニケーションを生み出す装置でもある

対談
奥村 彪生 (伝承料理研究家 大阪市立大学大学院非常勤講師 )
山下 満智子 (大阪ガス株式会社 エネルギー・文化研究所研究員)

遙かなる昔、「火」を手に入れた人類は、その「火」を利用してさまざまな文化・文明を創ってきた。その中でも、現代に至る長寿社会を確立するきっかけにもなった「火の食文化」は、人に栄養を与えることで単に肉体的な変化を生み出しただけでなく、例えば、「火」を中心に人が集まる作用が新たなコミュニケーションを確立させたり、「火」を管理する者がその集団の中心となったりするなど、人の生活にさまざまな影響を与えてきた。食文化を通じて、そうした「火」が人に対して果たしてきた重要な役割について、伝承料理研究家の奥村彪生氏にお話をうかがった。

かつての家の実権は主婦が握っていた

山下:
日本における「火」の文化について、料理を通してお話をうかがいたいと思います。

奥村:
柴や薪を燃やして煮炊きをしていた頃の昭和30(1955)年代まで、ことに囲炉裏で煮焚きや明かり、暖をとる日本の農山村では、「火」は家の中心でした。夜職(夜する縄ないや繕い、粉挽きなど)をしたり、家族や村の人とのコミュニケーションをとる場にもなっていました。だから、火を絶やすことは、家を絶やすことでもありました。その火の管理は主婦の役目で、夜寝る前に埋火にして翌朝に榾木を燃やしました。もらい火をするのは恥でした。家の中で囲炉裏の火を使って調理をする人が、「主婦権」をもっていたのです。いわゆる「めしべら(しゃもじ)を持つ人」のことですが、その権利の大きさを証明するのが、囲炉裏端にある座席のうちで水屋を背にして座る主婦の席です。

山下:
「嬶座」とか「鍋座」とか、いわれたものですね。

奥村:
囲炉裏を中心に生活していた当時は、主婦以外、食べ物には一切手を触れることができませんでした。主婦は農作業や山仕事をしながら、一年中家族全員に不足なく、楽しく食べ続けられるように「食の段取り」をしました。家族が一年間に食べる食糧の調達は家族でおこないましたが、調味料の調製(主として味噌づくり)と漬物、食糧管理、そして調理した料理の分配権のすべてを主婦が握っていたわけです。一家の主人であっても勝手に飯は盛れませんし、おかずも勝手に取れません。すべて主婦の手で盛り分けたのです。家族の生存、命は、主婦の裁量にかかっていたのです。
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