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情報誌CEL

塩野 米松

2011年01月11日

木造建築の技術と文化を現代につなぐ

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2011年01月11日

塩野 米松

住まい・生活

住環境
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情報誌CEL (Vol.95)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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 さまざまな日本の木を扱う職人達に会って話を聞いてきた。
 職人達は師から技と知恵を学び、それを弟子達に伝えてきた。それは長い時間と経験、失敗と成功から生み出され、時間という鑢に磨き上げられたものであった。
 時間の鑢は容赦がない。無駄な物、余分な物を削り取ってしまう。また社会という変化の大きい激流に耐えられない物は消してしまう。
 そうやって職人達は技と智恵を伝えてきた。
 会って話を聞くたびにそう思う。
 ここではそうした職人の中から、日本独特の木造建造物の技と文化とその伝承について紹介する。

−千年の木は千年の建物に−

 世界最古の木造建造物である法隆寺の棟梁であった西岡常一氏(1908年生まれ)に話を聞きに通ったのは1985年の1月からであった。亡くなったのが1995年4月11日。その間、時間が許す限りお訪ねし、話を聞いた。亡くなられる数年前からは西岡氏の唯一の内弟子鵤工舎舎主の小川三夫氏(1947年生まれ)に。その後も小川氏の下で修業をしていた若者達から、木造建造物に携わる者達の考え方を聞きに通った。
 西岡棟梁は宮大工と民間の大工との違いは何かという質問に、「ほとんど違いはないが、自分達は神や仏の住む建物を造ることと、民家に比べて数倍の大きな材を使うことが大きな差だ」と話してくれた。
 材の大きさの違いは大きい。
 大きな材は、誤魔化しが利かない。
 釘で打ち付けて留めておくことも、接着剤で接合することもできない。宮大工は釘を使わないという言われ方をするが、実際には使っている。飛鳥や白鳳の時代の釘も残っているし、打ち込まれた跡もある。その跡が当時の工法や姿を復元する役にも立っているのである。 
 ただその釘の使い方は、着物を仕立てる時の仮縫いのまち針のようなものであって、釘で柱と梁が組み合わさっているのではない。何しろ直径が50センチはあろうかという木材である。そんな木を釘で留めようという発想はない。
 釘は錆びる。錆は木を傷める。
 千年はもたせたいという建物に、できるものなら釘や鉄材は使いたくないというのが西岡氏の考えであった。 建造物は木と木の組み合わせでできあがっている。材の重みと材の癖を生かすことで建物は堅固になり、時間とともに強さが増していくように工夫されている。
 1300年を超えて法隆寺の建物が残っている理由は、飛鳥の工人達が木の癖を見抜き、それを生かす技と知恵を持っていたからだと西岡氏は言った。

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