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情報誌CEL

天野 徹

2010年10月01日

現代の「若者像」と彼らが置かれている「状況」の矛盾について−統計データに見る若者像再考の必要性

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2010年10月01日

天野 徹

住まい・生活

ライフスタイル
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情報誌CEL (Vol.94)

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−正社員は減ってない−
 非正規や派遣で働き、結婚もできない若者達が話題になり、支援方法が議論・検討されることが多い。事実、1990年以降の数字を見ると、リーマンショックが起こる2008年まで、実数でも比率でも一貫して伸び続けている。若者達の就職難が報道されると、この2つの間の関連を想定するのも無理はない。非正社員と正社員の生涯賃金格差は、統計に基づき計算できるので、正社員の減少→若者の非正社員化→若者の貧困化という構図を描きたくなる。しかし、そのような若者像は、本当に正しいのだろうか。
 これに対して、次のような説がある。生産年齢人口と景気の状態を考慮した場合、正社員の数は減っていないし、日本型長期雇用は崩壊していない。若者の正社員雇用が減少したように見えるのは、(1)産業構造の変化によって対人折衝能力が不要な仕事が激減したのに若者達がそれに対応できていないこと、(2)若者がえり好みをして中小企業の求人に応じないこと、(3)正社員による制約がライフスタイルに合わない、あるいは精神的に負担とする若者が存在することなどの理由のためである。そして、統計数字の処理・検討の仕方をつぶさに見れば、こちらの方が前出の俗説よりも説得力がありそうだ。
 仮に後者の説が正しいのだとすれば、現時点においてまことしやかに唱えられている「世代間格差」論における若者像を、大きく考え直す必要があるということになる。

−若者はなぜ変質したのか−
 では、ブルーカラーや自営業主、農林漁業など、高度な対人折衝能力が要求されない仕事が国内で激減したのはなぜか。それは、グローバル化と円高によって、国内で抱え込むことが引き合わなくなったからである。そして、こうした職業についていた人の多くは、「人を蹴落としてまで自分が偉くはなりたくない」という、いわば「競争社会の土俵に上ること自体を拒否する」傾向と「人間関係の煩わしさを嫌う」という、「対人折衝型の仕事に不向き」な傾向があるともいわれる。実際、ニートと正規採用された新入社員との意識調査からは、ニート状態にある若者にこのような性向を持つ人が多いことが見て取れる。
 高度経済成長期から大量に作られた郊外住宅地の環境と、1980年以降全国に普及したコンビニおよびファーストフード店、生活の個人化と高度情報化の進展等により、若者達は他者とのコミュニケーション抜きで生活でき、社会の中から断片化されたピースを好きなように組み合わせて「自分だけの世界」を構築できるようになった。それは若者達の精神的成熟を無視した都市開発と相俟って、脱社会化の原因とされる。その一方、労働のマニュアル化・コモディティ化は、コミュニケーションのバトルロワイヤル的状況や競争社会の舞台を避けて将来を見切り、馴れ合い気分の横並び待遇を好む「ジゾフレ人間」(※)を生み出した。

(※)深い関わりは避けるが横並び意識が強く、マニュアル志向で覇気がない、同調傾向が強い人間のこと。

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