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弘本 由香里

2006年03月30日

残された水辺からコモンズの再生へ

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2006年03月30日

弘本 由香里

都市・コミュニティ

まちづくり

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(財)大阪都市協会『大阪の市民力』

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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土地や空間の価値が限りなく経済価値に置き換えられ、私有化あるいは私的管理が極度に進んでいる。それが日本の都市の現状であり、目の前に広がる大阪の都市景観もまた、その典型といえるだろう。対象をセグメント(細分)化する市場の論理だけで都市空間が隙間なきほどに埋め尽くされてしまえば、多様な属性の人間が出会う本質的な意味での都市コミュニティは形成され得ないことになる。そこに日本の都市の不幸があるといっても、過言ではないのかもしれない。

こうした逆境をいかに乗り越えていけばよいのか。「広場がなければ革命は生まれない」「日本の都市に結局、本当の意味での近代的広場は形成されなかったのではないか」。こうした言葉が、日本の近代的都市計画を批判し、21世紀型の都市・社会を標榜する議論のなかで、近年頻繁に聞かれるようになってきた。つまり、「都市再生」であれ「水都再生」であれ、重要なのは「誰が誰のために何を再生しよとしているのか」という原点に立ち返って考えなければならないということだろう。

そして、今、この大阪のまちの中に、社会を変える場としての可能性を秘めた「広場」に代わり得る公共空間を見出すとすれば、そのひとつは間違いなく私有化された都市空間の中に裂け目のように存在する「川」であり「水辺空間」ではないかと、確信的に思うのである。なぜ、川と水辺がコモンズ(共的資源)の象徴足り得るのかといえば、そこには歴史的に人と環境と暮らしの営みの中で培われてきた役割やルール、共的管理によって活かされてきた川や水辺の存在と可能性を見出すことができるからである。

かつての社会では、流域にもたらされる水害の脅威に向き合う必然性や、貴重な環境資源としての水や水辺を分け合って使う必然性など、社会を維持していくために不可欠の避けがたい理由や目的が、個々の生活の営みに直結する形で認識され、共有化さていた。しかし、近代化の過程でコモンズの知恵の多くは失われ、忘れられていってしまった。結果、危機に対する感性や対応力の弱化、ローカルな景観秩序の崩壊や生活文化の喪失など、都市の未来を創造するためになくてはならない資源を大きく損なってしまっている。

 

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