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季刊誌CEL

今森 光彦

2018年11月01日

琵琶湖という遊び場

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2018年11月01日

今森 光彦

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情報誌CEL (Vol.120)

ページ内にあります文章は抜粋版です。
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琵琶湖というと私の場合は、やはり子どもの頃のことを思い出します。

その当時、湖の岸辺ではいつも独特のにおいが漂っていました。腐敗した野菜や、魚の体臭などが入り混じった複雑なにおいです。砂利浜には、おびただしい数の貝殻が打ち上げられていました。セタシジミやマツカサガイ、大きなドブガイもありました。二枚貝だけでなくタニシのような巻き貝も混ざっていたように思います。浅瀬を覗き込むと、トウヨシノボリやヌマチチブなどが、苔のついた石の隙間から顔を覗かせています。古くなった桟橋の杭などがあると、そのまわりで踊り狂うようにコアユが群れていたものです。

自宅の近くにヨットハーバーがあって、そこでよく魚釣りをしました。今では絶滅危惧種になってしまった、琵琶湖と淀川水系だけに棲む日本の固有種、ワタカもたくさんいました。釣りポイントになっていた理由は、港に注ぎ込む水路の河口から、豚や鶏の糞が大量に流れ込んでいたからです。糞は、動物性プランクトンを増殖させますので、それを食べる魚が集まるというわけです。化学洗剤などの毒物が流れ込む前の有機的な繋がりをもった健全な水がそこにありました。

生物の豊かさに陰りが見え始めるのは高度成長期以降です。琵琶湖総合開発計画がはじまり、琵琶湖の整備がおこなわれるようになりました。湖に流れ込む川にダムがつくられ、岸辺が護岸工事され、田んぼの整備が進みました。住民の排水の浄化処理の規制も厳しくなり、琵琶湖の水の透明度は、次第に高くなっていきました。この清潔感と引き換えに、昔から嗅かいできた懐かしいにおいが薄れてゆきました。

現在、「琵琶湖の水は、きれいになりましたか」と問われれば、だれもが、きれいになりました、と答えるでしょう。実際、水面をのぞくと、透明でにおいもありません。

しかし、このことが、はたして琵琶湖のほんとうの美しさにつながるのでしょうか。

20年位前、幼稚園児や小学生になったばかりの子どもたちを連れて、魚釣りにでかけました。私としては、何十年ぶりの久々の釣りです。訪れたのは、子どもの頃足繁く通ったヨシの茂る内湖。到着すると、さすがに奥深いヨシ原は、影を潜めていました。舗装された道路が岸辺まで迫って、周辺は宅地になっていました。しかし、魚のいそうな深みのある場所は、まだ残っていそうです。