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2024年03月13日 by 小西 久美子

ウォーカブルの歩き方


 

 こんにちは。エネルギー・文化研究所の小西久美子です。

3月1日に情報誌CEL134号が発行になりました。私はその特集を担当しました。特集テーマは「ウォーカブルの本質を考える」です。情報誌CELの隠れた人気コーナー「書籍案内」では「ウォーカブルの本質を捉えるための10冊」をご紹介しています。今日は、その書籍を片手に散策する「ウォーカブルの歩き方」のご提案です。

読書のすすめ −情報誌『CEL』の書籍案内コーナー|エネルギー・文化研究所/大阪ガスネットワーク株式会社 (note.com)

 

1 まずは、CEL134号を読んでみよう

 近年、河川空間、公園・広場、道路・街路などの公的な空間で、規制緩和が進み、自由な利活用が広がっています。公園や河川空間にカフェができたり、ゆったりと広くて歩きやすい歩道が整備されて、そこにはキッチンカーが出店していたり、時には、イベントが開催されたり…皆さんも身近にその様な変化を感じたことはありませんか?

 それは、国と地方自治体が勧めている「居心地が良く歩きたくなるまちなかの形成=ウォーカブルなまちづくり」の成果かもしれません。

 ただ、一言で「ウォーカブル」と言っても、その解釈は人によって異なり、地方都市と大都市、日本と海外でも異なります。「ウォーカブル」は街路再編や市街地の活性化、健康増進、脱炭素、孤立・孤独の防止、コミュニケーション向上など、実にさまざまな目的で用いられます。そこで「ウォーカブル」をまちづくりの便利な合言葉としてしまうのではなく、その本質を考えようとしたのが今回の特集になります。

 大都市の代表として大阪・御堂筋、中心市街地の代表として富山市・グランドプラザ、海外での先進事例としてニューヨークやポートランドなどでのウォーカブルに向けた取り組みやその意義についてご紹介しています。また、誰のためのウォーカブルなのかと言う観点から、ジェンダーや社会的包摂の視点でのウォーカブルなまちづくりについても考えています。総括として、現在のこの潮流が生まれた経緯とこれから目指す方向もご紹介しています。エネルギー・文化研究所(CEL)のホームページからもご覧いただけますので、一度、覗いてみてください。


  

Vol.134「【特集】ウォーカブルの本質を考える」 - 書籍・出版/CEL【大阪ガスネットワーク株式会社 エネルギー・文化研究所】 (og-cel.jp)

 

2 ニューヨークの最新ウォーカブルを歩いてみる

 「ウォーカブルの本質を捉えるための10冊」でご紹介した中には、都市でのウォーカブルにつながる事例がたくさん出てくる書籍が何冊かあります。例えば、「ニューヨークのパブリックスペース・ムーブメント 〜 公共空間からの都市改革」(学芸出版社)では、まちなかの公園・広場、ウォーターフロントの再開発、広場化された街路、大型開発に合わせて生み出された公共空間など最新ウォーカブル事例が多く紹介されています。ブライアント・パークでは毎年夏に編み物教室が開かれているそうです!もちろん、3月1日の投稿で熊走さんが紹介していた「ハイライン」も出ています。

 この本を読むと、それらの空間の現在の魅力が伝わってきて、実際に行って体感してみたくなります。さらに、普通のガイドブックと違うのは、これらの「パブリックスペース」がどの様な経緯で生み出され、どのような組織が運営し、どのような波及効果を生んでいるのかなど、1980年代以降の動きを中心に背景が詳しく書かれている点です。この本を手にニューヨーク市内を散策すれば、より深く「ウォーカブル」を感じることができるのではないでしょうか?


 

  

3 半世紀前の都市構造をたどってみる

 「新版・アメリカ大都市の死と生」(鹿島出版会)の原著は、1959年にアメリカの都市活動家・都市研究家であるジェイン・ジェイコブズが出版したもので、スクラップ&ビルド型の都市開発を批判し、都市の魅力を創出するものとそれを生み出す条件が整理された都市論の古典作品です。この中には、当時、彼女が住んでいたグリニッジ・ビレッジを中心にニューヨークやアメリカ大都市の街路や公園、住宅の様子などが詳細に書かれています。

 また、「都市のイメージ 新装版」(岩波書店)は、アメリカの都市計画学者ケヴィン・リンチが1960年に出版して以来、半世紀以上読み継がれている、都市計画・デザインの教科書的な名著です。この中には、ボストン、ジャージー・シティ、ロサンゼルスの3都市の通りやランドマーク、地域の詳細な観察記録が載っています。

 この2冊を手に、60年以上前のまちの様子を想像しながら、現在のまちを辿ってみるのも面白そうだと思いませんか?

 

 


4 地域に溶け込んでみる

 ヤン・ゲール著の「人間の街 公共空間のデザイン」(鹿島出版会)には、世界各国の居心地の良さそうな空間の写真が多く掲載されています。人間の街をつくるために、アクティビティ→空間→建築の順に計画することを提唱する著書らしく、アクティビティあふれる写真が満載です。

 「生きた景観マネジメント」(鹿島出版会)は継続的に景観をマネジメントしていく方法が書かれており、どちらかと言うと「プロ向き」な著書ですが、中には日本各地の、「いまも生き生きとある、都市やまち、場所を物語る景観」や「営みとともにある生きた景観」がたくさん紹介されています。

 この2冊で紹介されている。「アクティビティ」や「営み」が中心にある空間や景観の中にお気に入りを見つけ、実際に足を運び、その地に溶け込んでみる、そんな「ウォーカブル」の極め方はいかがでしょうか?

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

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近年、「ウォーカブル」という言葉をよく耳にします。 まちなかを車中心から人中心へ...

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