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2013年03月27日 by 栗本 智代

“語り”を通して、古き良き言葉の響きを見直す

大阪を中心とした地域の歴史や文化、まちづくりなど、まちの魅力をわかりやすく楽しく紹介するため、語りと映像に音楽を加えるという形式で「なにわの語りべ劇場」と銘打った活動を展開しています。その準備は、資料や実地調査、台本の執筆作業が軸になるのですが、仕上げに行うのが、台本を声に出して読み、語るという練習です。

活動当初は、人前で声を出すことさえも経験不足で、まず発声を学ぶため、アナウンスの講座へ通いました。アナウンサーを養成する講座ですから、「標準語」で苦手な発音を正しく指導してくれます。そこで、標準語で、語りべ公演を行っていますと、お客様から「なにわの語りべ」と言うからには、“大阪弁”でしてほしい、という要望が出てきました。

 そこで、いざ“大阪弁”で語ろう、と台本に向かうと、全く自信がありません。幼少から大阪のまち中で育った人には、いとも簡単なことでしょう。しかし、私が育ったのは、兵庫県の西宮市内。大阪弁でもない、神戸弁でもない、比較的標準語に近い言葉を使う阪神間のエリア内で、「○○してんねん」とも「○○しとお・・」とも言わない地域でした。知人によると、私が普段しゃべる時は、関西のイントネーションで会話しているそうです。が、いざ人前で大阪弁で原稿を読んで語るとなると、大阪らしくあらねば、という思いから、誇張された妙な大阪弁になってしまうことが多々あります。

 実は、大阪弁にもいろいろあって、船場・島之内の“難波(なにわ)”ことばと、和泉、摂津、河内のそれとでは、かなり違いがあるようです。お笑い芸人さんが全国ネットで話す言葉は、和泉や河内のケースが多く、それが大阪弁だと誤解されている傾向があります。プロの噺家や語り手の間でも、「その言い方は、正しくない!」と指摘しあうことがあると聞いています。例えば「ど真ん中」。この“ど”というのは、天満のあたりでは下品だから使わないという講談師に対して、いや、上町台地のあたりでは使っていたと反論するおばあちゃん等。言葉は生きている限り不正解はないような気がしますが。

上方の落語家の言葉は、師匠からの口伝えのおかげでしょう、ほとんどが違和感なくすーっと耳に入ってきます。近年、上方落語が人気を集めており、落語家による上方の噺言葉は当分は消えてなくなることはなさそうです。心地よい響きをもつ言葉には、好感が持てます。日常の言葉としては、大阪では、なにわ言葉が、何ともいえず品があります。京都の方言にも近いのですが、このなにわ言葉を話せる人が減っています。ふだんの話し言葉、語り言葉としての、美しい大阪弁、あるいは美しい関西弁というものは、誰かが意識して継承していかないと、いずれ消え去ってしまいそうです。

指導をうけて、ところどころでも美しい響きのなにわ言葉を話せた時、じんわり嬉しさがこみあげてきます。当地の人間になれたような、古き良き時代と少しつながったような。この美しい大阪弁、美しい関西弁を、どう活かしていくかが、これからの「語りべ活動」の大きな課題の1つになりそうです。

 

 

 

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