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2011年08月04日 by 弘本 由香里

人とまちをつなぐ“水の縁”再び

古来、人は“水”のあるところに命を営んできました。今も昔も、その本質に変わりはありません。水は、私たちの命と暮らしを支えるためになくてはならないものであると同時に、時としてそれらを脅かす危険を運んでくるものでもあります。だからこそ、先人たちは、水の恵みを分かち合うために、そして水のリスクを回避するために、生きる知恵としてのさまざまな生活文化を生み出してきたのではないでしょうか。

 

けれども、今、私たちの暮らしと水の関係はというと、大変便利になってしまった分だけ、意識しにくくなってきてしまっているようです。そのために、ともすると水害や渇水などのリスクに対する感度は弱くなり、水は上流から下流までつながっている公共の資源という実感も、人間だけでなく多様な命にとって不可欠な資源だという認識も乏しくなりがちです。

 

とりわけ、コンクリートで覆われた都市のなかでは、人と水の関係の多面的なあり方を暮らしの折節に体で感じ取ることや、次世代に伝えていくことがとても難しくなっています。しかし、よくよく目を凝らし、耳を澄まして見ると、水とともに生きてきたまちの原風景の入り口が、そこここに顔を出していることにも気づかされます。

 

たとえば、古代から現在に至るまで大阪の歴史が積み重なっている上町台地界隈を見てみましょう。清水谷、細工谷、桃谷…。味原池、庚申池、毘沙門池…。利休井、越中井、梅の井…。古地図を手にまちをめぐれば、今も残る地名や水のスポットの背景に、数々の谷筋が刻まれ、大小の池が点在し、湧水に恵まれた、水の都・大阪の原点とでもいうべきかつての姿が浮かび上がってきます。コンクリートに覆われたまちの深層に、今もその原風景と営みが息づいているのです。

 

変化の激しい都市にあってこそ、人と水の接点を入り口に、人とまちの関係を丁寧に紡いでいこうとする、いわば“水の縁”の再生ともいうべき取り組みの数々が見られます。長屋が残るまちの路地の奥に誕生した、人をつなぐ広場のような田んぼ、社寺や旧家で大切に活用され続けている井戸、地域の防災・減災のために雨水を溜めて使う手押しポンプ、上町台地ならではの由緒ある名水が生んだお酒などなど。

 

上町台地を走る大きな谷筋の一つ、清水谷界隈に、大阪ガス実験集合住宅NEXT21が立地しています。建物の足元には、ビオトープが設けられ、生き物たちの憩いの場ともなっていますが、同建物1階に設けた小スペース、U−CoRo(ゆーころ=上町台地コミュニケーション・ルーム)では、201174日〜1111日まで、ウィンドウ展示「上町台地・水先案内」を行っています。上町台地の立体模型や土地条件図やハザードマップを通して、土地に刻まれた水の記憶をたどるとともに、未来へと脈々とつながる“水の縁”をご紹介しています。

 

暮らしのなかで、水の恵みの分かち合いやリスクへの向き合い方を伝えていく、地域に根ざした生活文化の必要性やあり方について、思いを馳せるきっかけになればと願っています。

※写真は路地に設けられた「田島北ふれあい広場」の雨水活用手押しポンプ(大阪市中央区)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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