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2023年05月31日 by 遠座 俊明

「すでに起こった未来」超少子高齢化する社会に向けての活動を考える

写真:折り紙を折る 子供と高齢者

  

こんにちは。エネルギー・文化研究所研究員の遠座(おんざ)俊明です。

私は現在64歳。「活力ある高齢社会づくり」「定年後の生き方」を研究しています。


1.未来がほぼ確実に予測できる分野がある


昨年の出生者数が80万人を割り、政府は昨年末から急に少子化対策を声高に訴えています。しかし、日本の少子化、人口減少はもう20年前から判っていたことで、何を今更騒ぐのか?と首をかしげます。

未来のことは予測不可能などと言われますが、ほぼ確実に人口構造(人口ピラミッド)については予測できます。

このことをマネジメントの父とか未来学者と言われたドラッカーは、「すでに起こった未来」と表現しています。20年後の20歳人口や60歳人口は、今年生まれた赤ん坊の数や40歳者の人口から容易に予測がつきます。出生率を見ていけば、人口動態の変化がわかるので、国や社会、どの年齢マーケットのボリュームが大きく市場に影響を与えるのか、需要はどうなっていくのか、未来は予測できるのです。


2.最近の「合計特殊出生率=1.3」が意味するもの


合計特殊出生率は「 1549歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの」で、一人の女性が一生の間に生む子どもの数に相当します。おおよそ人口の半分が女性で、基本的に男女2人から子どもは生まれるので、合計特殊出生率=1.3とは、1.3人/2人(=0.65)つまり子どもの人口は親世代の人口の65%に減ることを示しています。同じ出生率が以後も続くならば孫の世代の人口は、0.652乗=0.42となり、毎年毎年しかも急速に人口ピラミッドの下の年齢層が先細っていくことがわかります。つまり若者・生産年齢人口(1564歳)、社会の支え手といわれる層が減っていくのです。お隣の韓国は合計特殊出生率が以前から1を下回っています(2022年=0.78)。子供の人口は親世代の半分以下、これが続けば孫世代の人口が2割前後という現実が韓国社会の危機感の根底にあると思います。


3.高齢化は相対的な現象


最近オフィス街を歩いていても白髪頭の方々をよく見かけますし、住宅街で昼間見かけるのは高齢者ばかりで、高齢社会の到来を実感します。しかしこれは、60歳過ぎても多くの方がたとえ一旦は定年になっても再雇用嘱託などで働きに出るようになり、住宅街では子どもの数が減り、女性も働きに出ている方が多くなったためです。

「あと数年で日本の高齢化率は30%を超え、更に40%に向かっていく」と言われるとあたかもますます高齢者が増えていくような錯覚を覚えますが、高齢者の数は今後ほとんど増えません。高齢化率が上がるのは、若年人口が減り、人口全体が減少していくために高齢者の占める割合が相対的に上昇するからなのです。逆に子ども(15歳未満)人口は48年連続で減り(202341日時点)1435万人で全人口に占める割合は11.5%になりました。出生率が2.0程度を維持し、人口ピラミッドが棒状になっていれば、税制や社会保障制度もおおむね持続可能な状態で推移していくものと思われます。しかし、日本の現実は、今後ますます逆ピラミッド化が進みます。


4.高齢者による子育てについて


日本昔話を思い出してください。“昔あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました…”で始まるお話は、竹を切ってみると中からかぐや姫が出てきたり、川で洗濯をしていると桃が流れてきたり、お椀に乗って一寸法師がやってきたりして、その子をおじいさんとおばあさんが育てるストーリーになっています。昔の日本は、今とは形態が異なるものの庶民は夫婦共働きが普通でした。子の両親は遠くの田畑で働いたり、場合によっては出稼ぎに行ったりしていたため、子育てを担っていたのは祖父母たちでした。これが日本の原風景だったのです。また、寺子屋や習い事のお師匠さんは子育てが終わった世代が主に担っていました。子どもたちは、祖父母世代から世の中の事、社会規範を学び、また地域文化も伝承されていました。つまり地域で子育てをしていたのです。

日本の都市化、核家族化が進み、今のように子育て世代の孤立が問題になってきたのは割と最近のことです。


5.高齢者と子どものコミュニケーションは一石二鳥の効果?


脳トレで有名な川島隆太先生(現:東北大学加齢医学研究所所長)と発達心理学者の田島信元先生(現:白百合女子大学名誉教授、東京外国語大学名誉教授)が監修した「高齢者が子どもの脳を育てる」という本によると、高齢者という親とは違った人とのコミュニケーションが子どもの脳の特に前頭葉の発達を促すことが特殊な装置で脳を観察してわかったそうです。また、子どもは高齢者という異文化と接することで“老い”やその先に死というものがあることを学ぶなど、非常に意義深い体験ができたそうです。また、子どもの発達だけでなく、高齢者の脳も子どもと接することで脳機能が維持され、子どもの発達速度にはとても及びませんが世代間継承などによる人としての発達効果があったそうです。


6.現代の高齢者が子育て支援を行うための課題を考える


人口が減少していく社会で、時間的に余裕があり人口ボリュームもある高齢世代が忙しい子育て世代を支援することは合理的です。



しかし、それが実際に行われるためには、高齢者が今の子育てのしかたについて学ぶ必要があります。また、子育て世代が安心して子どもを高齢者に託せるシステムも必要です。

エネルギー・文化研究所第18CELサロンは高齢者の子育て参加をテーマにこれらの課題について考えます。69日に行いますので、ご関心のある方は、どうぞ以下からお申込みください。

 


※第18回CELサロン 69日(金)16:0017:40オンライン併用

   「高齢者の次世代支援〜高齢者が参加し 地域で子育てするまちづくり〜」

    参加申込み締切日   6月7日(水)

   申込先: https://forms.gle/cmAeLmrbKkyaLLAH9 

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