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2022年12月08日 by 栗本 智代

小学校での「語りべシアター」公演の実現



こんにちは。エネルギー・文化研究所の栗本智代です。

私は、関西・大阪の活性化のため、まちの歴史や文化を楽しくわかりやすくご紹介する活動として、音楽の生演奏、映像、語りによる「語りべシアター」の公演を展開しています。

これまで、地元の住民の方々、近畿圏の皆さまを対象に、地域の魅力やこれからのまちのあり様について、興味を深めていただきたく活動を続けてきました。

この度、ご縁をいただき、大阪市大正区にある中泉尾小学校で、全学年の小学生に向けての公演が実現しました。


1.若い世代に、わがまち再発見を


自分が暮らす地域の歩みや文化、エピソードを知ることで、改めてわがまちのアイデンティティに気づき、誇りを持つことができる。このように考えて、「語りべシアター」の活動を続けてきましたが、これまで、公演に興味を持ち、足を運んでくださるお客さまは、60歳以上の高齢の方が多い傾向にありました。特にサラリーマンや学生の方などは、目の前にある業務や勉強に多くの時間を費やし、あまり余裕がない傾向にある一方、仕事や子育てに追われる時期を終えた高齢者世代には、時間的に余裕もあり、改めてわがまちを見直し、学びなおしたいという意欲あふれる方も少なくないようです。

ただ、若い世代の方にも、ぜひ一度公演をご覧いただき、地域に関心を持つきっかけにしてほしい、というのが、昨今の課題でした。

そこで、弊社内の学校教育関係の担当者の紹介で、大阪市の学校へアプローチを続けていたところ、ご縁があり、大正区の中泉尾小学校の校長先生が大変興味を示されました。

同小学校は、2年後に100周年を迎えられるということで、その式典で、高学年の生徒たちに、自分たちのまちについて発表させたい、と考えられました。まずは、「語りべシアター」公演を生徒たちに見てもらい、地域のことを知る面白さに気づいてもらうと同時に、高学年の生徒には、プレゼンテーション手法の見本として参考にしながら、来年、総合学習の時間を活用して1年かけて地域の物語を調べ、発表までの作業を進めるというスケジュール感で、協力を依頼されました。

1つの作品を作るのは、大人でさえ難しいことが多い中、小学生が楽しみながらできるかどうか、どれだけ完成度を上げられるかはまさに挑戦ですが、一度やってみようと考え、今回の公演実施となりました。



2.小学生に向けた「通天閣ものがたり」の制作


今回の公演では、中泉尾小学校がある大正区からも近い、新世界や通天閣をテーマに、紹介することにしました。新世界ができる経緯、現在の通天閣は2代目であることやその建設秘話、ビリケンさんにまつわるエピソードなど、小学生にもわかりやすい内容に絞り、クイズも交えながら、楽しく学べるようにしました。パワーポイントの画像にも、描きおろしのイラストを何カットも加えました。


  

イラストを追加したパワーポイント画像例


最後に、共演してもらう音楽家のピアニストの宮川真由美さんとヴァイオリニストの西村恵一さんとともに、演出を考えながら練習をして仕上げました。小学生にも馴染みのある音楽で、ストーリーにリアル感を出していくのですが、ややカタイお勉強的なイメージがある、まちの歴史が題材ということで、小学生が飽きずに最後まで集中して聞いてくれるか、どこまで子供向けの語り口調ができるかが今回の一番の課題でした。小学校公演を何度も経験している音楽家の2人から、言葉づかいをチェックしてもらったり、「テンションや声のトーンはもっと高いほうがいいよ」とアドバイスをもらったりして、NHKの子供向け番組「おかあさんといっしょ」を録画して見て研究しながら準備を進めました。



3.低学年と高学年の2回公演



 


当日は、まず2時限目に、1年生から3年生までの低学年向けに公演。はじめのご挨拶で、大きな声で「おはようございまーす!!!」と返ってきたので非常にうれしくなりました。こちらの質問にもしっかり挙手で答えてくれて、クイズを真剣に考えたり、知っている写真が出てきたら、嬉しそうに声を上げたりと、ストレートに反応があるので、こちらもリズムよく話を進めるため、いつも以上にかなり集中力が必要でした。



 

質問に答える生徒さん達


4時限目の高学年、4年生から6年生までを対象にした公演では、姿勢正しく静かに聞いていたかと思うと、逆にクイズの際は、積極的に発言したいという勢いで参加してくれて、低学年とのあまりの違いに驚きつつ進めていきました。

終わってから、先生が「よくわかりましたか? わかりやすかった人?」と聞くと、全員がうなずきながら手を挙げてくれました。

鑑賞後に提出された感想文には、「通天閣が、明治時代にできたことや、再建されるまでの物語、ビリケンさんのことも知らなかったのでよくわかった」「面白くて楽しくて、時間が過ぎるのがはやすぎた」(6年生)「映像と音楽がすごく合っていて、紹介する説明もとてもうまくて、自分もこんなふうに発表できたらな、と思った」(5年生)「感動した」「また大阪の歴史を知っていきたい。調べたい」(4〜6年生、複数)「通天閣2代目ができるまでのはなしがすごかった」「はじめの通天閣が壊れたのが悲しかった」(3年生)「クイズが楽しかった」「音楽がすごかった」「通天閣に行きたくなった」「ビリケンさんの足をさわりたい」「ママに言いたくなった」「お父さん、お母さんと話をして、いつか通天閣に連れて行ってもらい、すべり台をすることになった」(1〜3年生)など、それぞれ、楽しみながら興味を深めてくれたことがわかりました。


 


新世界に遊園地があった頃のエピソードも紹介

 


校長先生は「私も知らなかったことがあり、とても興味深く聞けました」と喜んでくださいました。

生徒さんだけでなく先生方も、地元のまちについて関心を持つきっかけになれば、こんなにうれしいことはありません。今後、総合学習の中で、具体的にどのように活用していくかは、また校長先生や学年担任の先生と相談しながら、進めていく計画です。


 


☆「語りべシアター」ホームページより 活動概要


https://www.og-cel.jp/project/narrators/way/index.html


  ☆ YouTube「語りべシアターチャンネル」URL


https://www.youtube.com/channel/UComUjrdoe88deEMWZLfc-Lg



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