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2022年06月20日 by 栗本 智代

大阪御堂筋ものがたり


完成85周年を迎えた大阪のメインストリート「御堂筋」

〜誕生秘話と未来への取り組み〜


こんにちは。エネルギー・文化研究所の栗本智代です。

私は、関西・大阪の活性化のため、まちの歴史や文化を楽しくわかりやすくご紹介する公演活動を展開しています。住民や観光客の皆さんが、地域の魅力やこれからのまちのあり様について、興味を深め、実際に足を運んでいただく機会が少しでも増えれば嬉しいです。


「御堂筋」を知っていますか?


今回は、大阪のメインストリート「御堂筋(みどうすじ)」をご紹介します。

皆さんは、「御堂筋」をご存じでしょうか?

観光に来られた際、地下鉄の大阪メトロ「御堂筋線」の名前として聞いたことがあるという方もいらっしゃるでしょう。

関西在住の私は、学生の頃から漠然と、大阪の中心的なビジネス街というイメージを持っており、いつか御堂筋沿いのビルで働きたいと憧れていた時期もありました。その願いが叶って、今は大阪ガスの本社ビルで勤務しており、いちょう並木を見ながら通勤しています。


 御堂筋の誕生秘話


 

<完成時の御堂筋を描いた絵葉書>(大阪市立図書館デジタルアーカイブより)


「御堂筋」は、大阪市の中心街であるキタとミナミを貫き、大阪ではじめて地下に鉄道が通った大道路です。もともとは、細い路地のような道でしたが、今の形で完成したのが、1937年(昭和12年)5月11日のことです。先月、完成して85周年、85歳の誕生日を迎えました。人間も、85年も生きているといろいろなことがありますが、御堂筋も、激動の人(道)生でした。


 まず、完成するまでが大変な難産でした。

「御堂筋」の建設は、1923年(大正12年)に第7代大阪市長となった関一(せきはじめ)さんが、壮大な都市政策を打ち出した、その代表ともいえるものでした。

「御堂筋」の周辺は、昔から大阪の中心的な商業エリアで「船場」と呼ばれており、道が碁盤目状になっていました。特に南北の道は非常に細く、もともと「御堂筋」と呼ばれて  いた道は、幅が約6メートル、長さが約1.3キロの、 北御堂と南御堂の前をつなぐ細い路でした。そこを、幅約44メートル、長さ4キロ以上 にする、という計画が打ち出されたものですから、住民は驚き「船場の真ん中に飛行場 でもつくる気か?」と猛反対の声も上がりました。しかし、関市長は、将来の車社会を見据え、大胆な整備を実施しました。道幅を広げるために立ち退きを余儀なくされた家も少なくなく、さらに「受益者負担金」として、周辺の住民が完成後に得るであろう 利益を先に工事費として負担するなど、市民の多大なる協力が必要でした。 



 

<御堂筋拡幅直後。淡路町から北をのぞむ>

(大阪市立図書館デジタルアーカイブより)

 


 同時進行!?大阪初、地下鉄の建設


さらに、大阪で最初の公営地下鉄の建設も同時に進められ、まず、梅田―心斎橋間の開通を目指します。しかし、土佐堀川、堂島川など、東西に流れる川を避けることはできず、底をもぐるしかありません。

大阪は地盤地質が軟弱で、地下3メートルで地下水が湧くこの土地での工事は 本当に難しかったということです。 


   

<地下鉄車両の運搬>(大阪市提供)

 

また、この写真のように、梅田貨物駅でつくった地下鉄車両を運ぶのに、牛も応援にかり出され、南御堂前の搬入口まで4時間かかって移動させて地下へおろされました。

そうして、1933年(昭和8年)5月20日に地下鉄梅田―心斎橋間が開通。大阪市民は喜びに沸き立ち、1番電車は超満員状態だったそうです。その4年後、「御堂筋」が完成しました。 


 未来への取り組み〜歩行者中心の新しい体験ができる空間へ〜


戦後、高度経済成長期には御堂筋周辺に大企業ビルが軒を連ね、平成、令和と さらに高層ビルが増えてきました。近年、次のステージへ向けて、さらに活気 あるまちを目指す取り組みが進んでいます。 

まず、ビルの高さ制限を規制緩和すると同時に、建物を4メートルセットバックするというルールにより、沿道部分に空地を設け、

賑わいや交流を生む催しや実験ができるようになりました。オープンカフェやマルシェなども定期的に開催されています。


  

<沿道部分の空地で開催されているマルシェ>


そして、御堂筋完成100周年を目指した将来ビジョンとして、全体を歩行者のための空間とするフルモール化計画が大阪市より提唱されています。

ずは、2030年の大阪万博開催時を目指し、現在車道となっている側道部分を 歩行者空間にするため、難波から北へ向けて工事が着々と進んでいます。  

また、2021年2月には、淀屋橋交差点から難波西口交差点間が、歩行者利便増進道路 (別名「ほこみち」)に指定されました。

これは神戸、姫路とあわせて、全国初で特例の 基準が認められたもので、歩道に設けられたカフェやベンチなどでゆったり滞在する人の姿も少しずつ 増えてきました。歩行者中心の新しい体験ができる道路空間を目指して、各エリアでチャレンジが重ねられています。 


    

<歩行者空間活用の社会実験例「御堂筋パークレット」>

 

これからの「御堂筋」の変化を楽しみに、ぜひ仕事にプライベートに、多くの方に足を運んでいただきたいと思います。



なお、この「御堂筋」を中心とした、近代以降の大阪の発展や取り組みついて、語りと音楽をまじえた独自の雰囲気で、楽しくわかりやすく解説した動画を配信しています。 以下の URLからぜひご覧ください。



語りべシアターONLINE「近代から未来へ 大阪御堂筋ものがたり」

https://www.og-cel.jp/project/narrators/topics/1305725_30667.html


語りべシアター活動概要

https://www.og-cel.jp/project/narrators/way/index.html



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